ダービー

5年ぶりの「ダービー」はその時間からくる差を感じつつも、アウェーで勝ち点を獲得したことは本当に良かった。と同時に残念なこともあった。

まずは試合のこと。久しぶりに見る鳥栖のプレーは「ずいぶん変わったな」という印象で、キン・ミョンヒが2019年シーズンの5月から指揮をとっているということで3年目ということになるのかな。それまでも代役的な期間はあったようだが。トップチームのコーチになる前には下部組織のアンダーカテゴリで指揮をとってきていて、今のトップチームの選手たちにも下部組織出身者が複数人いるというから、一貫性を感じる。

ポゼッションというか、繋ぐための考え方が浸透しているようだし、自信を持ってやっているなと。パク・イルギュは足もとの技術が高く、フィールドプレーヤーのようなキックでリスクのあるコースにもパスを通して鳥栖の戦術を支えている印象。というか彼がいなかったらマイナーチェンジが必要じゃないかとさえ思える。この試合で彼のセーブ技術を見ることがほぼ無かったのは二つの意味で残念だった笑。

アビスパは2試合続けてクリーンシートとなった。よく守ったし、得点のチャンスも少し作った。あのパスが、あの判断が、という惜しい場面は随所であったがそこはこれからということで。相手の特徴のこともあって割り切って昨季の連勝時の戦い方を採用したのかと思うのだけど、まあこちらのストロングポイントでもある。

序盤は予想に反してアビスパがペースを握っていたが、見ていてイヤな感じもしていた。やがて鳥栖が主導権をもって予想通りの展開に。それでも前半をしのいだことで良いイメージも持てた。山岸が身体を張っていた印象も強い。一方で本来のポジションではないケネディに多くを求めるつもりもないが、やや物足りなさを感じた前半よりも後半途中までのプレーの方が良かった。交代間際のチャンスはあと50cmくらい高いクロスが彼にはベストだった。あれは惜しい。

お互い連戦の疲れもあった中で、最後まで強度のあるプレーを続けた。終盤でチャンスを作り出したアビスパはよくやったなと思う。

 

最後に残念なことについて。

この非常時でクラブとその周囲にいる人たちは懸命に感染症への対策を継続している。それは日本のプロフットボールにまつわる文化を守るためであり、そこにはサポーターへのリスペクトもあるだろう。そういう彼らを「応援」するという行為において、この状況下では「協力」する意識が欠かれてはならない。サポートの意味を拡大して捉えるべきだと思う。そうやることで地元でハイレベルなプレーを見られる喜びを得るのだ。社会性や公共性を重視すべきで、それができない者は退場させられても仕方ない。「12人目の選手」なのだから。