連勝

ウノゼロで勝利。しかも鹿島からの勝利は15年ぶりという。その時もやはりホームで、2-1というスコア。当時の鹿島は内田篤人が高卒ルーキーでレギュラー格になり、もちろん曽ヶ端や岩政、野沢、柳沢といった代表やそれに準ずるメンバーが名を連ねていた。名前じゃないということを示したのだが、それは今回も同じだろう。

ケネディスクランブルでトップに入ったが、高さだけでなくスキルやスピードを持っているので、ある程度普通に機能してしまう。シンプルにクロスを合わせるようなシーンをもっと見たかったが、その彼のスピードが相手DFへのレッドカードを呼びこんだ格好だ。この判定はやや厳しいものとはいえ、出される形のものであることは確か。間違えれば大ケガにつながる類のもので、あの勢いで足裏を見せてよい競技ではないのだ。

ただしこの日の主審は不安定でもあった。17分のグローリのファウルの後のリスタートで、ポイントが明らかに鹿島に有利なところから始めさせてしまって、ここでは決定機に至っている。もしこれがゴールになっていたらこれもVARの対象にしなければならないはずだ。最初止めようとしていたようにも見えたがどういう判断で流したのか。不満が残る。

それまでも概ね互角にやっていたので、数的優位を得て勝ち目がさらに出たし、それは指揮官も同じように感じての山岸、金森投入だろう。しかし「10人の鹿島」はかえって面倒くさいもので、ピンチの芽をファウルで摘み取っていくことで試合を荒れさせていく。後半だけでイエロー4枚が鹿島サイドにあったが、けして警告の多いチームではない(今季は)。

鹿島にとってはケガ人が2人出たことが大きな誤算だったと思うが、勝ちへのこだわりはまったく薄れない。アビスパにとって常に難しい試合ではあったものの、やはり昨季の厳しさをくぐり抜けたチームらしく、しっかり闘っていた成果が金森のゴールとしてあらわれた。

グローリから良いポジションをとっていた草民への縦パスが入り、エミルがフリーで受けてクロスを供給。山岸が胸トラップしそうなところで肩を使った落としを選んで、金森がボレーを叩き込んだ。素晴らしい得点だった。

そしてこの試合で最大の出来事が起こる。持ち上がったエミルがタックルを受けて倒されるが、すぐ近くにいた主審は流してしまう。これがAPP(Attacking Possession Phase)の対象となって同点ゴールは取り消しに。先に触れた17分のプレーも同様で、目の前で見ている主審の判断が悪いし、レッドカードの場面では近くで見ていた副審の判断が良かったということになる。

振り返って思うのは、ケネディにしてもエミルにしても、ハードワークの結果としてボールに反応して足を相手よりも先に出せているからこそのこの勝利だと言えるので、それが本当に良かったなと思う。

さて次はダービーだ。勢いよく乗り込めるので期待している。