ルヴァンカップ ファイナル ☆

前の投稿で「願うのは勝利だけ」などと書いたが、実際にそうなってしまうと強い喜びよりも「マジか……」という気持ちが先にあったのは不思議な感覚だった。驚きというより非現実感寄りのものだ。そうして夜になって、しみじみ良かったなと感じられた。

それにしても良いパフォーマンス、面白い試合だった。前がシャドーで守備的な印象を持ったスタメンだが、その前がたった5分で先制点を取るとは思わない。紺野のあのコースへの早いグラウンダーも同様に。だからこれは用意されたものだと感じたし、実際そうだという。湯澤のオーバーラップも少し効いたかもしれない。

この時点で「長谷部スペシャルは用意されていたのだ」と知る。だからと言って、それがゴールに直結するにはクオリティが要るわけで、そこは紺野や前が良いプレーをしたということだ。

追加点のシーンはCKの残りで紺野が左サイドにいて、利き足のグラウンダーを、これもレフティの宮に当てた。開始直後、前半ATという理想的すぎる点の取り方だったが、試合全体で振り返ると先制点が決勝点だったと言えるのかもしれない。それを狙って取った。

全体としては、ボールの取り方が良かったと思う。そこも準備したものがあったのかと。「別物」としてセッティングされたものがある中で、山岸はいつもより周りを活かす振る舞いだったかと。そして攻守で期待されたものをそのまま表現していたように見えた。PKは残念だが、独特な雰囲気の中で、その場に立った者にしかわからないことがあるのは間違いない。

このファイナルの戦い方はこの1試合だけのことでなく、今季のこれまでのアビスパのマイナーチェンジの中で仕上がったものだ。そして素晴らしすぎる成果を得た。ここもまた面白い。4バック、3バック、5バック寄りの3バック。2トップ、1トップ、その役割とバリエーション。続出した主力の負傷による影響の中で工夫を重ねてあの形になった。だから良すぎるくらいのタイミングだったと言えそうだ。

加えるなら、シーズン当初に期待された井手口と紺野が離脱。結構長いものになったが、ここにきて期待されたものを発揮して、コンディションもいかにも良さそう。そこもちょっと面白い成り行き。

あとはルヴァンでの永石も。今季のGKの起用方、システムみたいなものを崩すことでストーリーになった。

そういういろんな流れがここに集約してチームとしてファイナリストの顔になり、そして勝った。勝ち切った。

試合前の露出、そして何と言っても優勝後の記事の量。もちろん試合内容について分析しているものが多いが、「そこ」までには色んなことがあったということだ。それを言い出せば「遡ること2020年」までになるが、さすがにもういいか。

リーグは続くが、とにかく優勝おめでとう、そしてありがとう!