ドイツ戦勝利

いや、驚いた。まさか勝つとは。「何かあってもおかしくない」とは言っていたものの。

それこそ前半は予想通りの劣勢で、正直日本代表のやりたいことが見えなくなっていた。ドイツはやけに左から攻めるなと印象づけて、右を使い始めてから左に振ってフリーを作ってPK誘発。PKとは言え、カタチは完全に崩されてのものと言える。

日本は前半のアタマからハイプレスをかけると思っていたし、ドイツ側もそうだろう。様子を見つつ思っていたのと違うなと感じながら、どこかで「何か」があると期待していたのが、そうはならずに結局先制されてしまう。キミッヒをフリーにして誰が取りに行くでもなく、伊東が下がるとその背後からラウムがオーバーラップして、というカタチ。ミュラーやムシアラを意識させられた格好。

権田はちょっと敏感すぎたかなと思う。それくらいドフリーだったわけだが「ゴール前を閉じる」意識が共有されていれば、DFに任せたはずだ。2失点めも時間の問題かと思われたが、ドイツもチャンスで良いシュートを打てなかった。そこはギリギリのところで日本も制限したと言えるだろう。権田は良かったが、あれくらいはやってもらわないと。残留争いの中での権田のパフォーマンスを見ていただけに、スタメンもシュミットダニエルを期待していたから、そういう意味では思っていたよりも良かった、くらいだろう。

オフサイドで取り消しになったが、あれが決まって0-2になれば前半で終わっていた。そして後半3バックに変えて、とうとう冨安がワールドカップ初出場。これはもちろん攻撃的なシステム変更でなければならないが、そういう森保の日本代表を見てきていない笑。「大丈夫か」と思ったが、冨安の活躍を信じて応援するだけだった。

試合後に出ていた冨安のパス成功率は95%(21本中19本)ということで、同点ゴールは彼から三笘へ渡ったところからのものだ。冨安のプレー自体はベストとは言えないだろうが、ドイツ相手に普通に対応していた。そういう安定感があの超攻撃的な布陣を支えたと言ってもいいのではないだろうか。

堂安のゴールはまさに狙い通りのものだろう。似たカタチはその前にもあったが酒井がふかしてしまった。そしてあの浅野のスーパーゴール。何度見ても意味がわからない笑。板倉からのロングフィードを前向きにトラップ。これが全てかもしれない。止めることは彼らのレベルならそれなりに成功するはずだが、さらにゴールに向かう角度で落とした。それでDFの前にも入れるわけで、その後のタッチとシュートも素晴らしいが、あのトラップは今までの日本代表のワールドカップで歴代最高のプレーじゃないかと思える。そしてそれが無いとドイツには勝てなかった。

そういう意味では板倉のフィードも殊勲だと言えるし、彼の復帰は本当に大きい。CBで人材が揃ってくるというのも日本代表の変化で重要な部分だろう。アタッカーはそれこそ飽和気味だったが、控えにまわった堂安や浅野が結果を出したわけで、三笘や南野といったタレントもベンチにいる状況というのは「いい時代になったな」と思う。

コスタリカ戦はもう明日か。彼らの大敗はショックだったが、イランがそうであったように立て直してくるはずだ。保持率は上がるだろうが、それが良い方に作用するのかはわからない。

アビスパサポであれば、ドイツ戦の勝利を残留争いの中の逆転勝ちに重ねたのではないだろうか。劣勢をはね返した歓喜の味わいはたまらない。次は相当引き締まったタイトなゲームになるだろうが「決めにいく」つもりで臨んでもらいたいなと思う。