ダービーでの勝利

良い試合、良いダービーだった。しかしそれはアビスパ側にとっての見方だ。

前半は鳥栖にとっての良い時間帯が多くあり、どうなるかと思いながら見ていたが、同時に「これがアビスパのスタイル」であることも理解している。だからチャンスを待って、そこでどうするかを見極めるのだ。

この競技においてミスの許容範囲は広いし、時には残酷な結果をもたらすこともある。前半終了間際、岩崎の推進力と駆け引きによって良いクロスが入り、相手のミスを誘った。ディフレクトの影響もあっただろうし、ゴール前での緊張感がより丁寧さを求め、難しくないはずのプレーの難易度が上がったように見える。

秀逸だったのは凌我の対応で、ボールへの反応は早かったし、そこにいたことが良かった。反転してのシュートのコースは感覚だろうが、GKの動きまでわかっていたかのようだった。時間帯含めて見事だと言うしかない。

これでHTでの意思統一が容易になり、勝利に向けての手順が明確になった。だからウェリントンのゴールも、その前から何となく雰囲気を感じていたし、それはただの希望的観測でもあるのだが、彼が出ている意味を考えれば、シナリオ通りだと言える。

そういう試合になったからこそ、試合後の鳥栖サポのあの反応を引き出したのだろう。実際には難しいバランスの中で試合は行われたのだけど、あまりにもアビスパにとっての「らしい勝利」になったことで、やはり許容できないと感じてしまうのは理解できる。

こちらにも終盤で許容できないプレーがあったし、当然の判断があれば3点目をシャハブ ザヘディがゲットしていたはずだ。あれは意味がわからない。

ちなみに、シャハブのインタビューを2本立て続けに見た。一つはJリーグ公式の配信動画(地上波からの流用)、もう一つはBSでのもの。後者で彼の意外な履歴が明らかになり、なんとSBからFWにコンバートされたという。これは驚いたし、良いコンバートだったなと強く感じる。SBには「献身性」という要素が求められるし、よりモダンなフットボールであれば攻撃面での貢献も求められる。だからシャハブのようなSBがいれば、チーム自体の戦い方も変わるだろう。そして彼のボール運びのベースにはSBでの経験が生かされているのかも、とか考えてしまう。「味無しパスタを食べる」というストイックさも印象的だ。

そしてあえて言うなら、前者でのインタビューであったような下世話な質問はやめるべきだ。こっちが恥ずかしくなる。元選手の意味がないでしょ。さらに「日本人女性はどうですか?」とか。お前はポン引きか、と。敬意という言葉を知ってほしい。

さあ、言いたいこと言ったので終わりにしよう。次は首位の町田が相手だが、これはかなり楽しみな対戦と言える。期待しよう。