冨安復帰

前節のリーズ戦で先発に復帰した冨安は、いつもの右SBではなく左SBで起用された。おそらく相手のエースであるハフィーニャへの対応だと思われるが(試合後のアルテタのコメントでもこのように答えている)、「信頼されすぎだろう」とちょっと笑ってしまった。もちろん相手はそこを使ってくるのだけど、冨安が対応できるのを認めるように逆サイドも使うようになった。しかし早めに2点のビハインドを負ったリーズ側に退場者が出てしまうと、興味深いマッチアップは無くなってしまった。数的有利を得てから攻めあぐむというのはやはりよくあることで、冨安は時折高い位置を取ることもあったが、連係面ではいかにも足りていない印象を受けた。とりあえずリードを活かして勝ち切ったガナーズは、CL出場権を争うスパーズとのダービーに良い流れで入ることになった。

そして迎えたスパーズ戦。リーズ戦のように冨安はソン フンミンに当ててくるかと予想していたがまさかの左に配置された。まだ真意はよくわからないが、ゲームの中での冨安の振る舞い方を見ていると、むしろマルティネッリとの連係による攻撃面での貢献を期待していたのではないかと思える。もはや守備面については心配されていない。

しかしこの試合もまたレッドカードによって面白さが削がれてしまうことに。その前のセドリックによる過剰な守備意識でPKを与えたのも残念だが、同様にソンへの過剰な対応によってホールディングが退場に追いやられた。CBの退場に際して普通なら選手交替がありそうなものだが、アルテタは迷っていたように見えて、ホワイトが動き出そうともしていたがそのまま時間が過ぎていく。そしてCKから失点してしまうという悪い展開になった。

結局3CBとなり、冨安は右に入った。勝負としてはかなり厳しいものになったが、冨安のCBという楽しみが出来た。そしてやはりちゃんとこなしてしまうのは流石だ。冨安という存在がなければ交替はあったはずだ。後半開始直後の失点はケインとの競り合いで崩れたガブリエウがかき出したボールがアシストする格好となり、そういうボールが絶好調の選手の前にこぼれてしまうのも面白いなと思う。

終盤ではそのガブリエウも不調を訴えて交替があり、最終的に冨安は真ん中を担うことになった。敗戦は残念だが、彼のユーティリティーな面が大いに発揮されたとは言えそうだ。

これで勝ち点差1となり、残り2試合は下位との対戦となる。ガブリエウの状態は気になるところで、ここにきて一気にDFラインに不安を抱えるようになってきたガナーズ。冨安の起用法にもさらなる変化がありそうだが、彼だったらホワイトのように振る舞うことも出来そうだ。次節まであまり時間が無いなかでどうなるのかは楽しみでもある。