アジアカップ セミファイナル - イラン戦

一夜明けて各記事を読みつつ、冨安の評価が一気に高まっていることを実感する。

今大会ではまず20歳の堂安が輝いて、アジアカップにおける日本代表の年少ゴール記録を更新したが、それまでは小野伸二だったということで素晴らしい系譜だなと感じていた。だがそれをすぐに同い年の冨安が更新したことで「ああコイツは本物感がさらに増したな」と思っていた。なんと彼は“持っていた”のだ。

前提として森保の抜擢と用兵があるのだが、何しろ実力を示しているので使わない方がおかしい。そうした意味で彼らのどちらかでもロシアW杯に選ばれていたらなと思わずにはいられない。森保にしたら兼任しているU-23のこともあるのだろうが。

それにしてもイラン側はやや淡白だった。いや良いパフォーマンスだったのは間違いないのだけど、守備面では日本に対してリスペクトがあり、攻撃面ではその逆だった。前半はイーブンだったので、ある程度リスクを冒さずに90分かけて敵失を誘うつもりだったのか。実際アズムンは脅威であったし、一人で打開できそうにも見えた。

あの前半は日本側がそうさせたというよりも、イランの振る舞いに合わせた結果だろう。主導権はまだどちらにもない。それを一変させたのが後半の大迫のゴール。PA付近で南野が倒れたプレーに対して主審が笛を吹かなかったことで、逆にイランの選手5人ほどが抗議に集まるが(ダイブを主張したのだろう)、ゴールラインに向かうボールの勢いは弱まる。そして背後で何が起きているか知らない南野がフリーでピンポイントクロス。彼のザルツブルクでのキャリアが生きたプレーと言えるのではないか。おそらく笛を誘うべく上手く倒れたのだろうし、そうでなければイランの選手もあれほどに反応しない。ただし、あのエリアで吹かれていない笛に5人ほどが集結する必要は全く無いので。

結局これが1点以上の差を生んだと思う。そういう構図の失点だった。イランの失意につけ込んだ日本代表の振る舞いも良かったし、とにかく継続してアズムンを抑えていた吉田と冨安、とりわけ狙われていたであろう冨安が本当に素晴らしい。2点差がついてからも安定していて、残り10分くらいではイランは勝負を放棄してしまったかのようだった。

なぜアズムンがあれほどに荒れたのか。それは勝てると思っていた相手(冨安)に抑え込まれたからだろうし、こちらとしても厳しい対人プレーになるだろうと予想していた。なのに終わってみればクリーンシート。感嘆という言葉がこれほど相応しいこともない。

この試合も半端無かった大迫は、試合後のインタビューでファイナルに向けて「結果がすべて」と言い切った。相手はまだ決まっていないが期待しよう。