ベスト16

面白い試合だった。できれば伊東三笘&4バックを見たかったが、成功体験のこともあるから仕方ないのか。冨安は延長含めてフル出場。やはり彼が入ると違う色が出るし、良いパス、良いチェック、シュートブロックなどが見られた。

冨安は明らかに最終ラインでパスの受け手、起点になっていて、ストロングである伊東のいる右サイドで攻撃のカタチを作っていた。浮き球のスルーパスなども時折見せて、アクセントをつけるチャレンジも良かったと思う。何より堂々としているのが良い。

彼は試合後に「ベスト8の壁とは」と問われ(なんと言う質問だ)、

「日本人の育った環境だったり、サッカー以外のところもそうですけど、そこの本当の根のところなのかもしれない。そういうのを差し引いても勝たないといけなかったです。何かを変えていかないと。これだけ破れていない壁なので」

という言葉を返したそうだ。アーセナルでトップレベルの環境にいる彼のこの発言は、何気ないものだとしても実感のこもったものに受け取れる。ちなみに、実際に彼が喋っている映像を見ると、もう少し具体的な内容になっていた。

後半には相手ゴール前でチャンスになりかけるシーンもあった。パスを受けてターンが綺麗に決まったが、さすがにあれで左足シュート、というのはDFに求められるプレーじゃない。クロスは少しマイナス過ぎたが、あのタイミングで、というのが狙いだったか。

勝てる試合だったとは思うが、何が足りなかったかと言えばそれは「良いシュート」に尽きるだろう。日本が勝った試合にはそれがあった。クロアチアの得点はこちらの5バックの穴を突いたものだが、ペリシッチのゴールは本当にハイレベルだし、クロスもそう。結局はそれが要る。そうした決定機のクオリティという意味では互角だったと言えるかと。クロアチア相手のそれは讃えたい。

振り返ると、ドイツ、コスタリカ、スペインと同組になるとこうなっちゃったか、という感慨がある。伊東、久保、三笘の使われ方には不満があったし、もっと選手に合った戦い方もあったはずだが、そこを守備で犠牲にする判断が結果として歴史的な勝利につながったというのは、今でも受け止めが難しい。

もっと前がかりな戦いが出来るはずだ、とは思う。しかしそれも希望的な観測でしかないのか。やはり総合的な底上げが成れば、ということだし、育成のことも。

いや、キリがない。勝負にこだわった日本代表はドイツとスペインに勝った。この事実はやはり重みがある。次のW杯はレギュレーションが変わって、日本代表にとってはノックアウトステージまでは確定していると見られる。そうなる前にこの経験をしたことに意味があるだろう。あとは長谷部さんに何か良い気付きがあれば笑。

代表はしばらくどうでも良くなる。五輪代表くらいかな。やっぱりJリーグ(と冨安)。そういう意味では国内組の発掘や再評価も進めばいいし、国内開催であればそういう代表で良いのだと思える。今のJリーグ選抜は普通に見たい。