コインの裏

グループC第3節 日本 vs. コロンビア
とりあえず事実として日本サッカーは国外でのW杯における成功体験がない。南アでの成果は成功とは程遠いものです。故にどうしたらいいのかが身に付いていないということを露呈させた大会と言えるでしょう。短期決戦であるグループリーグでは些細なことでコインの表と裏が入れ替わるもので、それは初戦でショックを受けたスペインも然り。ファンペルシーのスーパーなヘディングゴールがカシージャスの不安を増幅し、さらにスペインを沈めたといっても過言ではないかと。日本代表のドイツ大会との不気味な符合はこの際置いておきます。そこは掘り下げても大したことにはならない。

さてコロンビア戦。「らしさ」が発揮されたと言われる前半ですが、個人的には良いところと悪いところが全面に出ていてそれぞれがお互いを打ち消していたようでもあったなと。鬱うつしていた代表が突然勇ましく攻撃的になったさまはある意味「躁状態」。結果を求めているようでいて実のところ「日本らしさ」を演出しているだけのようでもありました。何しろこんな縦に急ぐサッカーやったことないし。ラインとの駆け引きなど個人戦術に長けた前田を活かせなかった代表は長い間中盤主導のサッカーを続けている。そのチームが中盤を省略しているのは血迷ったとしか思えません。確かにPA内にボールを運べていたのだけど、崩していないからゴールを決めるにはかなりのスキルが必要。出来ると思い込んでいたとしたらおめでたい。
「俺たちコンディションも連携も良くないから、緩急つけてほどよくリスクをかけようぜ」的な考えを誰ももっていないのか。だからあれはある意味「日本らしい」のでしょう。歴史に学ぶべきなのだが‥
本田は確かに良い選手です。だがこのレベルになるとさほど競争力はない。レベルの選手ということです。なのに国内の過剰な評価やそれに呼応したかのような自意識の強さを感じさせている。ナカータと同じですね。ナカータが抜けていた時期の代表は強かった。本田を抜いた代表も見てみたいものです。国際舞台で成功体験のあるロンドン五輪世代の清武が勇ましいことを言っているようですが、本田以上ではないからなあ笑。その気概は大事だろうけど。
ザックの采配も最後まで振るわず。結局この人はチームを信頼できていなかった、というのも感じさせたしモチベータとして今イチだったんだろう。他のチームと比べても本当に熱の低いパフォーマンスでしたね。

さて大会全体を総括するタイミングでは「アンチポゼッション」の大会だったということになりそうな流れ。かといって安易に「組織から個へ」とは思わない。まずはチリ、メキシコに注目したい。