初めて

何が初めてか? 完封が?
いや違う、「ここには勝てる」と思えた事が、だ。
試合開始からの15分で、これはいけるな、という確信に近いものがあったのは、何も浦和の後(かのチームとのギャップによる麻痺)だったからではなく、相対的に見てのことだ。まあ、より正確に言うなら「負けてはいない」という確信。
昨シーズン、優勝争いをしたチームを前にしてそう思えるようになったのはとりもなおさず、シーズン開始からの積み重ねがあったからだろう。セレッソが今どういう状態なのかも見て取れたし、その意外なほどのユルさに驚きもした。だからセレッソアビスパよりも下位にいることを「なるほどな‥」とも思った。
そして、あんなセレッソに勝てず、ようやくにして初の完封という成果にのみ、すがるしかないアビスパの現状もまたせつないね。
  
お互いに少ないチャンスだったが、その少ない中でも確実に決定機たらしめていたのはセレッソの方。そこは流石で、意図された攻撃のパターンを確立しているものの強みを見た思いだ。
翻って、アビスパにはそれが皆無だった。たった一つ挙げるとするなら、それはアレックスのオーバーラップか。ただし、傾向として中央に切り込んでいくきらいのあるこのパターンは、わざわざ狭いところへつっかけてぐだぐだになる。シュートで終わることすらないのだ。
それから、守備の事に重きを置きすぎているのか、攻撃への切り替えも開幕当初よりも遅くなっているように思える。攻める事への執着が薄いというか、ね。どうせミスるなら勝負の上でミスって欲しいよ。
  
もうこれは今に始まった事ではないけど、アビスパには"play"が欠けているように思う。要するに遊び心が無さすぎて、いかにも窮屈なんだな。責任逃れにも見えるようになってきたバイタルエリアでのワンタッチプレー。それは練習で繰り返していることなのだろうけど、意外性の欠片もない。
このまま基本戦術に忠実なプレーにばかり腐心するのではなく、時にはバランスを崩してまでも点をもぎ取ってくるような展開を見たいものだ。言われた事だけやってるんじゃ、プロとは言えないでしょう。
守備であれだけ妥協しないチームが、こと攻めに関しては、ホント、ぬるい。
  
それにしても、1トップは今後の規定路線なのか? それとも3バック対策なのか?
次の新潟は4バックだから、そこでハッキリするのかな。