悪癖と光明

立ち上がりに主導権をとれないという悪癖は変わらず、開始からたっぷり30分はいいようにかき回された。でも、点はとられなかった。運がよかったし、ひとつもいいシュートがオマーン側になかったのはこれまでと同様だ。それにしても持ち味である中盤を排除してパスゲームを行わなかったのは恣意的なものだったのか、単純に「出来なかったのか」。これはどうひいき目に見ても後者という印象。両サイドは押し込まれ、例によって5バックに成り下がった。しかも守備から切り替える際のパスが精度を欠き、延々とオマーンの攻勢は続いた。
その中にあって当初の混乱からいち早く立ち直ったのがシンジだろう。始まりこそ、不安視されていたゲーム感の欠如からか周囲に引きずられるように精彩を欠いていたように見えたが、時間の問題だった。とにかくシンジがプレーに関わっている時には安心してみていられる。判断に早く、しかも的確で、そのパスは確実に味方の足下か有効なスペースに送り出されていた。あの得点シーンもそのシンジのFKから中村、そして鈴木のフィニッシュへと繋がってのものだった。
シンジが前を向いて持てば、引き出す為の他の選手の動きが始まる。そしていつものようにパスは届けられる。そこに前線のタレントの質の高いアタックが成功すれば、点につながる。大事なのは、そういう流れが共通理解として浸透すること。その点では、俊輔が献身的で現実的なプレーを身につけつつあるのは大きい。もっとFWとのコンビネーションを磨いていければ、最終予選でもコンスタントに結果を出すことができるだろう。
‥‥さて、ヒデはどこに? 神様はどう考えているのだろうか。4バックに戻して中盤をボックスに戻すというのも、今なら見てみたい気もするが‥‥。