開幕を前に

とうとうJ1でのシーズンが始まろうとしている。

昨シーズンは本当に良い闘いを見せてもらったし、それが継続、発展していくことを期待する。昨季の過密日程とは違い、今季は「10連戦」などというものは無いので、おそらく1戦ごとのフィードバックがなされやすくなるだろう。スカウティングにも時間がとれるし、コンディショニングもそう。条件は基本的にどこも同じだが、ACL組や代表クラスを抱える上位チームはキツくなる。

今季はなんと言っても「降格が4枠」というイレギュラーなものになって、これが各チームの戦い方に影響するのは間違いない。史上初のことなのでどうなるのかは誰もまだわからないし、「より積極的になる」「負けないサッカー」など識者でも意見は分かれる。それでも昨季の狭き門をくぐり抜けた経験がアビスパにはあり、さらに状況は変わって挑戦者として向かっていけることは確か。

もちろん1部のハイレベルなプレーも楽しみだが、そこに切り込んでいくアビスパ、という構図もまた楽しみなのだ。開幕戦の相手は名古屋ということで、手堅い守備がベースにあって、今季の補強でアタッカーを得た。

こちらも新戦力が多くあり、彼らと昨季のメンバーとの融合もこれから見守ることになる。いやあ楽しみだ。「10位以内」という目標にどれだけ近づけるか、見届けたい。

J1昇格へ向けて(10/10)

有終、とはこのことだろう。前節で昇格を決めた両チームがプライドをかけて闘い、そしてアビスパが勝った。しかし徳島はJ2優勝を決めた。ある意味幸せなシナリオではある。

立場が変わって向かっていく側になったが、実際に90分を通して攻める姿勢を貫いたのは開幕戦以来かもしれないし、もちろんそれ以上の迫力があったと思う。結局目指すべきものは変わっていなかったのだ。守勢であった徳島もチャンスをつくってはいたが、次第に圧力に押される格好となった。

とは言え、中盤での差し合いは目を見張るものがあり、スピード感のある展開の応酬は首位攻防戦に相応しいものだ。それにしても、こうしてお互いが昇格を決めて最終戦で上位2チームが対戦するということが今までにあったのかどうか。面白い成り行きではあるし、優勝セレモニーが博多の森で行われたのも初めてだよね。「やべっちスタジアム」も仕事がしやすかったのでは笑。

石津はナイスゴール。チームは終盤ではすっかり流れから得点できるようになっていた。今季の厳しい日程でもゆっくりと慎重に前進することを選んだのは良かったし、就任1年目の長谷部さんが見事にマネジメントを遂行した成果でもあるだろう。来季はこれがベースになるので、伸び代しかないと思える。期待したい。

またセランテスのことも。彼が昨季出始めたときは、まだアジャスト出来ていなかったが、日本の2部の力量を知ってからはパフォーマンスを上げてきて、ビッグセーブを連発した。そういうチーム事情でもあったが、見事だったと思う。今季にしても安定したクオリティを発揮して「知っているセランテス」らしいプレーぶりだった。できればまたJで見たい選手である。普通にオファーあると思うけどね。

これからチーム編成でいろいろあるのだろう。これだけの良いチーム、なるべくそのままでとも思うがそうもいかないだろうしね‥。成果を出した社長の言葉を信じて、見届けましょう。

博多の一休

今季の苦しい時期の中盤を支えたのは彼だ。貴重なレフティとして違うアングルをもたらした。彼はまだ必要な選手だと思うが、これを契機により良い環境でプレー出来ればそれがいいなと思う。

出場時にはポジショニングの良さからくる危機察知であったり、早いタイミングでの縦パス、大きなサイドチェンジ、さらにプレースキック。要するに良いフットボーラーであり、地頭の良さを感じさせるスマートさが印象的である。

アンダーカテゴリからトップチームに入り、まさに生え抜きとして、また移籍を経てからの復帰後も多くの好パフォーマンスを見せてくれた。もちろんこれからもそうなるだろう。少し残念だけど、新天地でのさらなる成長を願っています。

J1昇格へ向けて(9/10)「昇格!」

長崎ー甲府戦の長いATの後に歓喜が待っていた。

まずは愛媛戦のこと。相手は琉球相手に6失点という敗戦の後ということ、ホーム最終戦ということなどもあってか、積極的なパフォーマンスを見せていた。つまりいつものアビスパの試合であり、終盤では「昇格圏内にいるチームと失うもののないチーム」の対戦という構図がより明確になった。必然的に慎重になるコチラと積極性のあるアチラという態度の差がパフォーマンスにも表れた。その中でロープを渡るようにバランスをとりながら確実に進んでいくチームを観てきたし、積み上げてきたものがまたこの試合でも発揮された。

立ち上がりはやや愛媛に主導権があったと思うし嫌なイエローが2枚あった。しかし受け止めておいてから最近少なくなっていたCKからの得点が良い時間帯にあった。もう「例のデザイン」と言ってもいいくらいに既視感のある、フリックからのシュートという流れ。上島から山岸へということになって、愛媛も反応良くブロックに来ていたが押し込んだ。これで勝ちパターンになり、当然出足も良くなった。

最近では追加点が期待できるようになり、その中で時間が過ぎていったがこれも良い時間帯と言える前半ATに遠野が決めた。こちらも既視感のあるシュートだったが、セランテスのフィードからフアンマのバックヘッド、そして遠野が完璧なファーストタッチで、というシンプルな流れが素晴らしい。

後半もしっかりと試合をコントロールしていたが、惜しむらくはさらなる追加点がなかったことか。ただしミッドウィーク開催でもあり無理をすることもないなと思いながら観ていた。そういう流れに入ったことを感じてからは、長崎の試合も同時に観ることにした。

すると甲府が良い戦いをしているので「これはあるかもしれない」と感じられた。ドゥドゥの惜しいシュートがあったりと甲府が圧力を増していく。そしてCKからの同点ゴール。ここからも甲府は攻める姿勢を貫いていたのが良いなと感じたし、それは長崎にとっては圧力であり続けた。

先に終わったアビスパのメンバーがタブレットで配信を見つめる中、通信状況もあって自分は彼らよりも早く昇格を知った。そしてしばらくあってからの歓喜アビスパの昇格という出来事の中でも初めてと言える絵になったが、それも楽しめたのは良かった。

昇格おめでとう、そして最終節の決戦を楽しみにしている。

J1昇格へ向けて(8/10)

この最終盤でもチームとして前進しているようで素晴らしいなと思う。

前半終了間際に決定的なピンチがあったが上島の対応もあってか、名手のウタカが外してくれた。それは良かったがやはり打たせる状況は避けたいところ。

そしてこの試合でもまた短時間で複数点が取れた。

1点目は今季のエミルの一貫したプレースタイルが見事に活かされたものだろう。クロスが中でうまく合わせられなかったが、そこに走り込むのが彼らしい。走り込んだ分、インサイドでも強いシュートになったし、コントロールも抜群だった。

2点目はパスミスを取ってからのカウンターで、先制してからも高い位置でプレスをかけていたことが呼び水になったか。右に開いていく山岸と、クロスしてダイアゴナルに追い越していった増山、その間で遠野が受けると、ワントラップからまた左足で決めた。

クリーンシートは3試合ぶりか。これが本当に良かったと思う。次はまたミッドウィークだが、しっかりと準備して闘ってもらいたい。

ちなみに「やべっちスタジアム」でこの試合が取り上げられていたときに、山岸が胸トラップからシュートまでもっていったシーンを見て、やべっちが「コントロール上手かった、囲まれながら」とコメントしていたね。こうして2部でも扱われるようになったことは良かったし、次回の配信時にはすべてが決まっていることになる。楽しみだ。

J1昇格へ向けて(7/10)

こういうことがあるのも昇格争いの当該チームならではか。凄い試合だった。

金沢としては狙い通りだったろうし、それ以上だったかもしれない。そうした相手に対してよく闘ったし、あの3分間は興奮した。1点目は木戸のシュートを相手DFの手で止められて、ハンドをアピールしたが受け入れなれなかった。そこからすぐに切り替えたのが良かった。CKの後の混戦からスペースを感じて動いた草民にエミルがグラウンダーのクロスを送り、ダイレクトで叩き込んだ。

人についてくる相手であれば、それを出し抜いていくことで剥がせる。2点目はややまずいボールロストがあり、自陣深くからエミルに出されたパスが少ないタッチで遠野へ。山岸や草民が高めに残ってつくられたスペースを上がっていって、草民が左サイドで受けたパスをダイレクトで返す。この判断が良かったし、遠野もしっかり危険な場所へシュートをコントロール出来ていた。重廣が走り込んでなかったらGKには止められたはずだが、重廣についていたDFともどもブラインドになってゴールへ。

「こんなこともあるのか、だったら逆転も」と思うのは仕方ないはずだが、相手も3点目を取りに行く姿勢は変わらない。そしてATの最後の最後でもっと劇的なプレーが待っていた。CKの場面では2失点目のイメージが残っていたが、まったく同じデザインでフリックからシュート。「\(^o^)/オワタ」となりかけたが、あれは輪湖だと思うがとにかくブロックして、それがまた相手に。再度「\(^o^)/オワタ」となってからの、

“セランテスの左足”

がビッグセーブ。ここにも「こんなこともあるのか」があった。思い返してもため息が出る。この緊迫感をシーズン最終盤に味わわせてくれてありがとう。

少しハッキリしてきたが、やはり違うステージに突入しているようだ。詳しく言及することもないが、選手たちにはこれまで積み上げてきたものを信じて闘ってもらいたい。だいじょうぶ。

J1昇格へ向けて(6/10)

惜しい結果だったが良い試合でもあった。中二日の日程でメンバーもそれなりに固定された。それでも闘えていたことが良かったと思う。そして今シーズンの中でも出色のゴールが生まれた。

左サイドのハーフライン付近から重廣が山岸に出したパスをフリックで草民へ。草民はポストプレーとしては分が悪いながらも押さえ切って、倒れながら素晴らしいパスを裏へ抜けていく山岸へ返す。山岸はツータッチ目で右のアウトサイドでゴール前に走り込むフアンマへ。ここで裏をかけたのか相手DFは少し剥がされて余裕をもったダイレクトパスを起点から走り込んだ重廣へ。「シュートはゴールへのパス」と言ったのはジーコだったが、まさにそのようにコントロールされたインサイドのキックはGKの足が届かないところにデザインされた。それが結果的にブロックに入ろうとしたDFの股抜きにもなるという見事な流れのゴールだった。

失点シーンはCKから中でグチャっとなったこぼれ球をボレーで反応良く打たれて、それが狙っても無理だろうという狭い中を抜けてゴールマウスへ。セランテスの反応は凄かったし、これは仕方ないなと思う。それでも改善できるところがあるならまた次に活かしてもらいたい。

一つひとつ、確実に集中していると思えるし、それをより高める意気込みでもって臨んでもらいたい。