クロアチア、アルゼンチンがベスト4へ

「ベスト8が面白い」というのはまあ定説だし、大きく外すことはない文句だ。でもそれどころじゃなかった。こうして振り返ろうとしても溜息が出そうになる。

まずクロアチアーブラジル。「日本に勝ったクロアチア」の試合というだけでなく、相手は優勝候補の筆頭。クロアチアは延長戦を経験した後でさすがに分が悪く、守備的にならざるを得ないだろう、というのは当然の予測だった。それが……というね。

クロアチアは後ろに重くなることなく、これぞバランスという振る舞いでブラジルに立ち向かった。リスクをちゃんとかけ続けるところが素晴らしくて、ギャンブル性は薄く、出来るからやっているというのを示していた。それでも「いつまでもつかな」という懸念はあり続けた。しかし時計の針が進むうちに自分の考えが間違っていることを知らされるわけで、もう、溜息しかない。

前の記事でも触れたが「ワールドカップで勝つには良いシュートが要る」わけで、そうなるとこの試合ではかなり良いシュートが必要だろうな、と思いながら見ていた。そして待望のスーパーなゴラッソが誕生する。ネイマールが無いはずの道を通ってニア上に。言葉にするのがもったいないくらいの超絶技巧だった。

これほど素晴らしいゴールがあると、俄然ブラジルに勝って欲しい、素敵な物語が続いて欲しい、と思うのは普通だろうし、クロアチア人とアルゼンチン人以外はそうだろう。でも終わらないからこの試合がさらに特別なものになるという皮肉。よもやブラジル側の心情に寄りそうワールドカップになるとはね……。

リヴァコヴィッチは国内のみのキャリアで27歳。昨年から代表のレギュラーになったということで、いろいろと噛み合って急成長しているということなのだろう。

もう一つのアルゼンチンーオランダは、ここにきて調子を上げてきたアルゼンチンが、そのように勝つ雰囲気しかなかった。メッシの1A1Gで文句なし、のはずがパワープレーで1点差になり、これも語り草になるはずのトリックプレーで同点。10分という長いATのおそらくラストプレーで「それやる?」という、これも本当に凄すぎるゴールだった。2-0で寝た人は相当数いるだろうなあ。

そしてまた延長&PK戦。さすがに笑ってしまった。ちょっと面白いのは、やろうと思えばやれるパワープレーをオランダは延長でしなかったということ。それは老舗の矜恃だろう。オランダと言えば“グッドルーザー”。さすがだなと思う。

フットボールには可能性があり、それを更新し続けるのは情熱なのだな。そんな感慨に浸れる長い夜だった。凄すぎる。