1位通過

順位表を何度見ても現実感が無い。素晴らしい勝利だった。

やはり前半を1失点で終えたことが大きい、という意味ではドイツ戦と同じ構図。そして「よく1失点で済んだな」というのも。ドイツ戦と違うのはスペインの本気度だろう。1-0の状況でいいというのはスペイン側の偽らざる考えのはずで、その態度は普通のことだと思いながら見ていた。

しかし、である。後半で日本が逆転し、裏ではコスタリカが逆転している時間帯があった。この時点でスペインの立場はGL敗退というものだった。ただし、すぐにドイツが同点になり短い時間だけだった。それでもドイツが勝ち越すまで10数分あり、スペインは同点になる必要もあったはずだ。しかしそうはならずに試合終了。同点になれば日本敗退の可能性もあった。

結果としてスペインは「2位通過」となり、ブラジルとは違う山に入る目算が立った。真相はどうあれ事実としてはこういう経緯があったことになる。

さて、日本代表のパフォーマンスについて。これは前の2戦よりも良かったと思う。それは意図が明確に感じられたからで、良くなかった前半もそう。時折ハイプレスも見せていて、ただ守っていただけじゃなく、状況に応じてやり方を変えるということもやっていた。

残念ながら久保や鎌田は持ち味を出せないやり方ではあったが、彼らが守備面でも問題がないことは頼もしいなと思う。そもそもあの3-4-2-1は鎌田発信のものらしい。フランクフルトがバルセロナを下したときの戦術と成功体験が反映されているという。

もちろん選手の構成、タイプなどが違うから、調整されたものだろうが、どう考えても参考になるものなのでチームとしてもありがたく採用されたのは無理もない。

まあ付け焼き刃の印象は免れないし、それがあの前半だろう。それが選手交替で一変する。久保が下がったのはよくわからないが、堂安の勢いを優先したというなら理解できる。そしてなんと言っても三笘の活躍によってあの2点が生まれた。

つまるところ前半からの伊東、そして三笘という選手達が、本来ならあまり向いていないWBをほとんど完璧にこなしたことにつきるなと。三笘の守備は旧知の谷口との連携でとても良かったなと思う。前半と違って「3バック」になったことで彼の良さも出せたし、これはスペインとの相性もあるかと。

やはりスペイン相手に点を取るにはあのクオリティのシュートがいるわけで、それは久保にも出来るはずだが、ノッている堂安が一発回答で答えた。

面白かったのは2点目で、1.8mm残しの三笘のクロスは大会を通じての名シーンになるはずだが、それとともに前田の役割が実は凄かったなと。あのとき、相手GKとDFは前田の動きに完全につられたわけで、それは普通のことだと思う。だからGKはゴールラインより内に入ってプレーが切れると判断した。そこに三笘が「時間差」で折り返して田中が反応。

これってバレーボールの時間差攻撃そのもので、一人目の前田のアタックが完璧にフェイント役として機能したところが、あの得点のキモなのだ。それが無いとGKがブロックしたはずなので。

さらに、秀逸だったのは前田に当てなかった三笘の技術で、あれは多分かかとの内側で当てて、地面に跳ねさせて浮かせるという、ちょっとよくわからない技術だった。あれ瞬時に出来るのって凄いんだけど、フロンターレサポなら「前からやってる」と言われるものなのかもしれない。

キリがないんだけど、冨安が途中出場して、相手の交代による攻撃の芽を見事に摘んだことはちゃんと言及しておこう。コンディションのことはさておき、ポジショニングの的確さ、対人の安定感などで勝利に貢献したと言える。素晴らしかった。

次はクロアチアか。コスタリカ戦のことは当然分析されるだろうが、とにかく期待しよう。

あと「日本代表はアビスパ福岡っぽいことやってる」というのはトピックになってもいいよなあ〜。