良い試合だったと思う。結果は残念だが、相手ともに良いプレーもあって強度のあるものだった。
やはりイニエスタについて触れることになるが、運動量は少なくてもポジショニングの良さで守備面でも貢献しているし、オンザボールでの安定感は流石としか言いようがない。いつものあのスッと立った体勢で周囲を見回し、危険なところへボールを運ぶ。ちょっとした動きがフェイントになるから、時間が作れるし周囲も動きやすいだろう。彼がベススタでプレーしているのを観られるのも、昨年のチームの頑張りがあったから。ちょっとしたボーナスステージの趣も感じられたが、試合自体はとても引き締まったものだ。そういう試合だからイニエスタのゴールもまた光るのだ。フットボールファンとして「良いものを観たな」と思っている。
クオリティの高い選手が揃う神戸相手に全体としてよくやっていたと思うが、やはり早すぎる失点が悔やまれる。酒井のクロスは素晴らしいがアレは触って欲しかった。ただしこれも早い時間帯で追いついたことは良かった。天皇杯でもあったが、クルークスの左からゴールに向かうクロスに反応してGKとの駆け引きに勝った山岸がゴール。本人はあえて「触ったかどうかわからない」と言っているようだが、あの足が出ていなければゴールにはなっていないだろう。
残念なのは28分くらいのプレーで、山岸がスイッチを入れてこちらの左サイドの高い位置で奪ってからのショートカウンター。メンデスのシュートからこぼれたボールを重廣がシュート。決定的といえる状況を作ったが枠外へはずした。狙った形だけに惜しまれる。前半で逆転していれば、またひとつの成功体験になったはずだ。
杉本のハンドは仕方ない。その前の交代策は大胆なものだったがあまり状況を好転させるものにならず、押し込まれる時間帯が続いたことであのようなシーンに繋がった。
試合後はスペイン人プレーヤーの輪が出来たり、山岸と古橋が談笑するシーンも観られた。おそらくそうかなと思っていたが、やはり岐阜で2018年にプレーしている。山岸のアシストで古橋がゴールを決めたりしている映像も観た。ちょっと面白いのはこの年に岐阜は水戸相手に4-0というお祭りのようなスコアを出している。山岸が2ゴール、古橋1ゴール。古橋のゴールはPKで山岸が譲ったとコメントしている。それで彼は5試合連続ゴールというクラブ新記録を達成したということだ。さらには今や代表選手。そして‥水戸には前がいて指揮官は言うまでもなく長谷部さん。3年前のことだが、随分と様変わりしたものだ。山岸も古橋が先に決めたので期するところもあったかな。そういう意味でも良い試合だった。
また一つのクリーンシート、一つの先制にこだわってシーズン後半に向かって行ってもらいたい。