回帰

お互いに気持ちのこもった良い試合だった。広島の攻撃は常に脅威だったが、アビスパも強度を保ったまま時間をバイタルで時間を与えない。ワンタッチでの抜け出しで何度か危険なシーンもあったが、決定的なフィニッシュにはさせなかった。まさに全員守備とも言えそうな意識で前半は終始した。

前節のG大阪でも見えていたが、チームとしての意思が今季の4月くらいの雰囲気になったようにも思える。FC東京戦などはとても印象に残るものだったが、同じように昨日の試合も好感の持てるものだ。ただし、あの頃のアビスパの立ち位置と相手の対応と昨日は異なるので、チームとして進んでいることは言えると思う。

苦しい前半だったが終わり際にチャンスを2つ作って、1つは決定的なものだった。良い角度の映像が無かったのでフアンマと林の位置関係がわからないが、林が上手く対応したということだろう。

後半に入って志知が続けてイエローを提示されて退場。PKは怪しいが、あえて言うなら柏の突破に対して中で前が対応しようとしていたことを考えると、雑なプレーだったかとも思う。山岸とフアンマという2トップでチャンスを作れていたので残念な展開になった。

2失点めで終わったと思ったが、VARでオフサイド判定。ジュニオール サントスは動き直しながらDFとの駆け引きをしていたし良い選手だなと思う。それでも奈良がギリギリの判断ながら素晴らしい対応をした。MOMと言っていい。

結局この判定で流れが変わったし、広島は守備的なマインドになりながら、どこかで統一感は失われたようでもある。

得点シーンはクルークスが引き付けて、相手にすればクロスだろうと読んでいたはずだ。しかし判断良くポジショニングを上げた前へを横パスを出した。このパスがノートラップで中に入れるボールだったのが本当に良かった。左足でのシュートだったが低く強いボールだったので、青山の足の下を当たりながら地面にバウンドして、おそらくその後ろの選手の肩に触れたんじゃないかな。ドライブがかかって絶妙な弾道で林を越えてゴールに吸い込まれた。諦めない気持ちもそうだが、良い判断のパスとシュートというクオリティがあればこそだ。

連敗が無駄になっていないこともわかったし、中村という戦力も上積みされて今後がまた楽しみになってきた。