中位対決

いやあ劇的だった。

まず前半の先制は久しぶりだと思うけど、前節も可能性を感じていたからおかしくはないし、相手の対応もあって右のエミルが活きるようになっていた。スカウティングがあって、DFラインが下がったスペースを使う狙いが共有されたことがよかったと思う。あのシーンは配信で観戦していても「使えるスペースがあって、そこは空けられている」と感じていたので、エミルのクロスが供給されたときに「よし」と思っていたし、山岸の動き出しともリンクしていた。それを見てとってテンションが上がったところで軽やかなボレーシュートがDFの間を抜けてゴールに吸い込まれた。チャンスメイクで存在感を見せていたが、このシーンはストライカーとしての力量を示したファインゴールだった。

残念ながら前半ATに追い付かれてしまうが、あのシーンでちょっと面白いのは、フアンマのクリアがロングスローの後の藤田の方に転がっていき、たぶん中村がチェックに行こうとするのだけど前にいるセレッソの選手に邪魔されて詰めれなかったので、藤田が良いボールを上げられたように見える。バスケのスクリーンのようになっていて、露骨なものはもちろん反則だが、たまに見られるものだ。

これで振り出しに戻るが、悪い流れではない。しかしお互いに勝ち点3を狙う中位同士の対決は簡単には動かない。アビスパにすれば耐えながらも少なくないチャンスを活かしたいところだった。結局この「少なくなかったチャンス」が試合の流れをこちらに引き寄せたのだと思う。攻守のバランスが守備に偏るとやはり1部では厳しい。しかし2トップをはじめとする攻撃面でよくやっていたので、守備でも十分に相手を抑え込めたのかと。

フアンマも献身的だったし、交替したジョン マリも身体を張っていた。そういう選手が絡んでこその、あのクルークスのゴールだったのだと思う。クルークスは前節でも前のゴールに絡んでいるし、ここにきて馴染んできた印象を受ける。

まあとにかく堂々たる中位対決で、引き分けも仕方ないと思っていたところに劇的なゴールが待っていた。これは「手応え」という意味でこれまでの勝利とはまた違ったものになったのではないだろうか。悪天候が続くが、それも利用する意気込みで次もまた期待したい。