矛と盾

やはり「負けなければいい」トーナメントにおけるイタリアは、まさにイタリアでした。そしてそんな最凶の相手に対し、不得手であったはずの神経戦を完璧にこなしたスペイン‥最初の45分があっという間に終わりハーフタイムに入った瞬間にこれは今大会のベストマッチであると確信しましたよ。そして最後までスペインの勝利を信じていましたから、あの結末は本当に感動的だったんですよ!
スペイン寄りに観戦していれば、あの主審の笛も憎らしいまでのアズーリの守備も枠をとらえられない数々のミドル(コロディンを見習え! 彼は次は出場停止だけど)などイライラさせられることも多く、本当に見たかったスペインの姿ではなかった。フィールドプレイヤーで誰が良かったかと言えば、何といってもマルコス・セナでしたから。それでもミスが多かったわけではなく、ただひとえにお互いが最後まで大きな隙を見せなかったということなんですね。こういう試合でこそラウルを観たかったというのは何度か頭をよぎりましたが、そんな思いを吹き飛ばしたのがイケル・カシージャスのあまりにも凄いパフォーマンスでした。2年前までのマドリー不振の中で、ともすれば崩壊の二文字が差し迫っていたくらいにズタズタになりかけた守備を、たった一人で何とか支えていたのが彼。その頃から誰がイチバン良いGKかという話題があったときは必ず彼を挙げていたくらいに、個人的には買っていた選手です(まあ周囲にはあまり同意されませんよね)。所属するマドリー自体が欧州で大きな活躍が出来ていなかったことと彼の評価も比例していたはずなんですが、とうとう大舞台で歴史を塗り替える勝利を決定づけるパフォーマンスをやってのけたのです。まさに聖なる存在として、今後のスペイン代表の象徴となっていくことでしょう。
【図解】スペインvsイタリアPK戦
ちなみにこの図解を見ても、彼のセーブが高いレベルのものだったことがよく解りますね。デ・ロッシのも枠内いってたし、イタリアのキックは全て難しいコースにいっていましたから。あーもう、今回のEUROはこれでいいな。