天皇杯セミファイナル

そりゃあ、もちろん残念な結果だ。しかし良いものを見られたなとも思う。やはり「天皇杯の準決勝の中継」というだけで少しグッとくるわけで、少なくとも前半に関してはインパクトを与えたと言えるのではないだろうか。

良いゴールもあり、クオリティを示すこともできた。なにしろ相手は直近のACLのアウェイで蔚山に勝ったチームなのだ。あの試合を見て「これは難しい」と思っていたので、前半はまさに上出来と言えるものだった。

しかし。なんというか「場数」の差を感じる試合だと言えるかもしれない。だからそこを埋めてステージを上げる作業をしているのだと受け止めている。「史上初」を猛烈に更新している今のアビスパが、この強い相手との経験を活かせるかどうか。川崎はそういうスケジュールになっていたと思うし、見事に繋げたのだ。

次はホームということで、求められるのは勝利。期待しよう。

後半の

拮抗、と言うべきかどうか。こちらに決定機がよりあったように思うが、もし先制していれば違う鹿島が現れただろう。

どうやら向こうの考えでは「後半のアビスパ」対策が意識されていたようで、チェンジコートもその一環。まあ、あのスタジアムでは少なくない。交代で積極的に動いたのも鹿島で、やや意外なようにも感じたが、受けに回らずに勝ちにきていたということだ。

やはり鈴木優磨に目が行くが、こちらも当然のように要所で厳しくいくことはする。しかし、この試合はイエローが多かったね。不可抗力のようなものとは言えないケースばかりだったのが残念だ。

そして試合が終わった後で「あれ、柴崎ってどうなってる」となる。忘れてた。

内容については、正直モヤることはある。しかし、シーズンも終盤にきていろいろ抱えている状況での「これ」はなかなか凄いのかもしれない、とも思う。

さて、この次には「カップセミファイナル3連戦」という、誇らしくかつ面白いものが待っている。そこでどう闘うか。期待しよう。

アウェイで逆転+1

逆転、そして追加点。相手のミスというよりこちらの決定力が際立ったと言えるだろう。

前半は柏がより良かったし、プレッシングの速さが目立った。そういうなんとなくの雰囲気の悪さがあのCKでの失点に繋がったのかもしれない。もちろん素晴らしいゴールだったのだが、嫌な流れはあったので。

とは言え、その後はピンチをピンチにせず、最小失点で前半終了。攻撃面での改善はあるのか、ウェリの早めの投入は、などと考えながら後半へ。

後半、柏は落ちると思ってはいたが、意図的に落とすのは意外だった。それでいけると踏んだわけだろうが、早い時間帯でその思惑を崩した。ここ数試合で繰り返し見せていた、少ないタッチ数での連携がようやくゴール前で繋がり、ネットを揺らした。

相手はやはり山岸をケアするので、金森と紺野の動きが良かったと言えそうだし、ややアバウトなボールを完璧にコントロールして落とした山岸のアシストも光る。これは2点目についても同様か。

そして3点目。これは金森の駆け引きでの勝利が重なってのものとなった。これは大きな追加点。

結果として前線3人で取った得点ばかりというのも良かった。リーグ戦での3得点は今季初ということだが、これで良い流れに繋がればいいなと思う。

コンディションが気になる選手も増えているが、また整えて次に備えて欲しい。

11人いる

数合わせが重要な競技だと思っているので、そこで勝てれば大きい。いわゆるミラーゲームではそこがより顕になるということで、ギリで勝てたのもそれだったのかと。

もちろんゴールにおける前嶋のクロスとウェリントンの質が決定的だったが、それまでの流れ、雰囲気を掴んでいた出場選手たちの働きぶりが、あのゴールに繋がったと思う。

たとえドローに終わっていても面白い試合だった。しかし、あまりにも見事に「期待された形」のゴールが決まったので、嬉しさとともに思わず笑ってしまった。不確定な競技の中にままあらわれる結晶を見るのは楽しい。

確かに「名古屋に勝った」というのはそれなりに感慨がある。このカードもまた「次」があるので楽しみだ。

FC東京に勝利

短期での3連戦ということで、ちょっとした総力戦と言えるものになったと思う。そして勝利した。積み重ねたものの違いもあるだろうが、単純に質、クオリティで上回った。

前提があったため、あの山岸の先制点はかなりエモーショナルなものだった。残念ながら遠いサイドだったのでアシストが小田で、胸で落としたというのはわからなかった。しかし、上手い落としなのはわかったし、ドンピシャで山岸に渡った瞬間には「角度は無さそう」だと思ったが、見事にゴールが決まってスタジアムが一斉に沸いた。

「それがまず必要」という得点だからだろう。あとで映像で見ると山岸のシュートはニアだったことがわかり、ちょっと驚いたし上手いなと思う。

CKからの小田のゴールも掻き出されて未遂になったと思ってからの認定。これは凌我のこともあって良い流れができたなと思った。

2点取ってあとは黙らせる、というのはもちろん試合前に願ったことだが実際にそうなってみると本当に嬉しいものだ。そしてこれでまた楽しみが増えた。

奇しくも次のリーグ戦の相手は、ルヴァンで次にあたる名古屋。リーグ優勝を窺っているチーム相手にどう振る舞うか。期待しよう。

そういえば、この日は代表戦でのスーパーな冨安を見ていたので、本当に良い日になった。衝撃の結果になったが、普通に内容で上回った事実に「こんな日が来るとは」と思うしかなかった。

冨安のプレーを注目していたので、日本のチャンスで取られて繋がれそうになるあるシーンで「ここで冨安なら」と思ったタイミングで画面の外から見事に現れたのには痺れた。本当に良い選手だし、試合後のインタビューでは昂っているように見えて、それは「ようやく代表で力を発揮した」ことを実感して、これまでのことを振り返ってもいただろう。本当に良かった。

3連戦

同一カードで1週間に3試合、という状況はむしろ楽しいと感じるし、その中でどう振る舞うのかをまず見せてもらったということだろう。

個人的にはなるほどなと思える内容で、そこに現時点で細かく言及することもないが、それにしても良い入り方だった。

前のクロスは100%山岸を意識したものだと思うが、そういう形だったからこそ大外の凌我が決めたとも言えるのでは。

そして、良い時間帯に追加点が取れた。これが本当に良かったなと思う。ちょっとアビスパでは珍しいもので、好みのものでもある。

クリーンシートを逃したときの奈良のリアクションを見て、それもなるほどなとなった。そういう気持ちの積み重ねで守られるシュートもあるだろう。

次も早いしこれくらいで。とにかく良い勝利だった。

第103回天皇杯 準々決勝

まああまり使いたくはないが「気持ち」で勝った、と言っていいのではないか。それは相対的に差があったというより、単純に絶対的なものであったと感じた。

早すぎる失点は一部始終がよく見えるところで観ていたので笑、さすがに項垂れてしまった。ただし、次第に良い時間帯を獲得する中で、得点もまた時間の問題だろうとは考えるようになった。

とは言え、セットプレーからの惜しい場面が2度あって、あと数センチが及ばないのは嫌な流れでもある。

しかし。前半の最終盤に高い位置で井手口が躍動し、鶴野含めて奪いきったボールをダイレクトに繋いで山岸がゴール。これは良いゴールだし、あのままリードされて前半を終わるのとは雲泥の差だ。

後半も開始早々に湘南が仕掛けるがシュートにはいたらず。これは本当に良かった。そして逆転ゴールはまたも山岸。立ち上がって喜びながら「湘南サポはどう思ってるんだろう」となるが、やはりメンタルというのはこの競技で重要な要素なのかと。

ダイジェストで見ると、数的有利にある3人が同じ絵をイメージしていたのかと思える。そういう良いゴールだった。

そしてダメ押しは、ハイプレスから井上が高めの位置で奪って山岸に。パスを受けた凌我がキレイに打ち込んで決めた。

歴史はつくられて、さらに更新されるのかどうか。楽しみが続くことに感謝したい。