いろいろ凄かった

素晴らしい試合、勝利だった。ただ、ちょっと試合の事の前に触れたいものがこの日のスタジアムであったのでまず先にそれについて。

それは試合直前の清水美依紗のパフォーマンスについて。今季の“モチベーションソング”として採用されていた「Starting Now ~新しい私へ」をピッチで生歌唱するというもので、この曲はディズニーが昨年から世界的に行っているディズニープリンセスの祭典「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の日本版テーマ曲ということらしい。

近年のディズニー関連の日本のシンガーといえば、石橋陽彩や中元みずき(今のMizki)が思い出されるが、とにかく厳格なオーディションを経て抜擢されるということで、この清水美依紗も同様だろう。それにしても、である。いやとにかく凄かったし、この曲が女性たちに向けた応援歌だとしても、それは色んな立場の人々に向けてもそう作られていると思える力強さがあるから、彼女のパフォーマンスでスタジアムの空気が一変したと感じた。歌い終わった後の拍手の量がそれを表していたし、長い拍手の後も少しざわついていた。あのスタジアムでちょっと体験したことのない類のものだった。

ご本人のツイートを引用すると、また素晴らしい巡り合わせがあったことを知る。これも凄い。

 

もう、今年のワールドカップのテーマ曲はこれでいいのではないだろうかとさえ思ってしまうのだけど。

さて試合のこと。前述のとおりスタジアムの雰囲気はすでに熱を帯びている中で、リーグ屈指の得点力を見せている横浜FMを迎えると、否応なしに高揚してしまうもので、これも良い体験だった。開始からの序盤ではハイプレスから押し込むアビスパとそれを剥がそうとする横浜FMという構図で、ややこちらが押し込む状況が続いたと思う。前がシュートを打った決定機もあったが取りきれない。するとハイペースを自覚するようにあえて時間を使うプレーも増えてくる。雰囲気が良過ぎたのかもしれない。

こうなると後半でまた仕掛けることになるわけで、強いチームを相手にしている以上、それは想定内のことだし「よくやっている」と言える前半だった。

強度のあるプレーが続く中で、前節の川崎戦と同様に(逆の立場で)スローインからのデザインが見事にハマりクルークスが先制。2トップの関係性が効いたプレーだった。

その後にはアンデルソン ロペスの唾吐きによる退場劇があり、数的有利にはなったが相手が相手なのでむしろシンプルな攻撃への意欲が徐々にアビスパを押し込んでいくことに。しかし長すぎるATも耐え切って見事に勝利した。守備陣の気迫が負けていなかったし、それを発散させる奈良のような選手は重要な存在だなとあらためて思う。

次は早くもミッドウィーク開催ということで、まずは十分に整えて欲しい。良い勝利を良い流れにするために。期待しよう。

現在地

2失点で済んでよかった、そう思う。前半はそれこそプラン通りだったと思うが、クオリティが伴えば先制すらもありえたと感じた。DAZNアーカイブでは山岸と谷口のマッチアップがサムネールに使われているが、実際そこはお互いの狙いが見える箇所だったと思う。そこにプレッシャーをかけ続けるのは難しいことだが、それをやらないと勝点は遠くなるということだ。

しかし川崎Fも受けて立つだけでなく、対策も講じてきているので正直「厳しいな」と感じていた。1失点めは崩されたというよりは崩れたと言えそうだ。そして2失点めはピンポイントで急所を突かれた。仕方ないなと思う。

ここからも残り時間は少なくなかったが、集中は続けられていたのでそのまま終わった。得点のチャンスもあったが、そうなれば失点も増えたかもなと思ってしまうほどに、川崎はやはり強いチームだ。そしてこのレベルを知ることができる現状をポジティブに考えたい。

次もまた攻撃に強いチームとの対戦だ。横浜FMはまた違うタイプだが、どうなるかは楽しみだ。期待しよう。

冨安復帰

前節のリーズ戦で先発に復帰した冨安は、いつもの右SBではなく左SBで起用された。おそらく相手のエースであるハフィーニャへの対応だと思われるが(試合後のアルテタのコメントでもこのように答えている)、「信頼されすぎだろう」とちょっと笑ってしまった。もちろん相手はそこを使ってくるのだけど、冨安が対応できるのを認めるように逆サイドも使うようになった。しかし早めに2点のビハインドを負ったリーズ側に退場者が出てしまうと、興味深いマッチアップは無くなってしまった。数的有利を得てから攻めあぐむというのはやはりよくあることで、冨安は時折高い位置を取ることもあったが、連係面ではいかにも足りていない印象を受けた。とりあえずリードを活かして勝ち切ったガナーズは、CL出場権を争うスパーズとのダービーに良い流れで入ることになった。

そして迎えたスパーズ戦。リーズ戦のように冨安はソン フンミンに当ててくるかと予想していたがまさかの左に配置された。まだ真意はよくわからないが、ゲームの中での冨安の振る舞い方を見ていると、むしろマルティネッリとの連係による攻撃面での貢献を期待していたのではないかと思える。もはや守備面については心配されていない。

しかしこの試合もまたレッドカードによって面白さが削がれてしまうことに。その前のセドリックによる過剰な守備意識でPKを与えたのも残念だが、同様にソンへの過剰な対応によってホールディングが退場に追いやられた。CBの退場に際して普通なら選手交替がありそうなものだが、アルテタは迷っていたように見えて、ホワイトが動き出そうともしていたがそのまま時間が過ぎていく。そしてCKから失点してしまうという悪い展開になった。

結局3CBとなり、冨安は右に入った。勝負としてはかなり厳しいものになったが、冨安のCBという楽しみが出来た。そしてやはりちゃんとこなしてしまうのは流石だ。冨安という存在がなければ交替はあったはずだ。後半開始直後の失点はケインとの競り合いで崩れたガブリエウがかき出したボールがアシストする格好となり、そういうボールが絶好調の選手の前にこぼれてしまうのも面白いなと思う。

終盤ではそのガブリエウも不調を訴えて交替があり、最終的に冨安は真ん中を担うことになった。敗戦は残念だが、彼のユーティリティーな面が大いに発揮されたとは言えそうだ。

これで勝ち点差1となり、残り2試合は下位との対戦となる。ガブリエウの状態は気になるところで、ここにきて一気にDFラインに不安を抱えるようになってきたガナーズ。冨安の起用法にもさらなる変化がありそうだが、彼だったらホワイトのように振る舞うことも出来そうだ。次節まであまり時間が無いなかでどうなるのかは楽しみでもある。

切り替えて

残念な結果だけど内容的には妥当なものだろう。前節で大勝したアビスパと大敗した湘南という構図があり、この試合にかける湘南の気迫は相当なものだった。しかも退場者を出してさらに一丸となったチームを相手にするのはアビスパにとって難しいものになった。

それでも後半の早いタイミングに決定機があり、右深くをえぐった柳のパスを山岸が良いスペースでシュートに持ち込んで、相手GKの谷の脇を抜けたが、田中達也をケアしていた畑がそのままカバーに入ったところに見事なタイミングで当たった。相手を褒めるしかない笑。下手すると田中に当たる可能性もあるケースだったが、結局このシーンが最もゴールに近づいたものとなった。

この一連の攻撃では、まずクルークスのルキアンへのパスが弱かったり、高さのない草民にヘディングをさせようとしたりと、ちぐはぐなシーンも見られて少しモヤる。前節の志知に続いてまたもバックパスでピンチになりかけるが、それが相手のレッドを誘発するというのだからややこしい。相手も狙っているわけで、工夫は必要だろう。パスが弱くなったりするのは技術的な問題もあるし、受け手との共通理解もより深めるべきだ。

結果的に課題がさらにはっきりしたわけで、誰にどうやって取らせるかを深めてもらいたい。次は川崎戦ということでどうなるか楽しみだ。

 

見たことがない

嬉しい驚きだ。リーグ最少失点とそれに1差の成績にあるチーム同士が対決してこのようなスコアになるとは誰も思わない。しかし、早い時間帯で得点と失点があり、その内容を観れば「これは荒れるかもしれない」という考えもよぎったりはした。それにしても、である。

思わず声が出た山岸の勝ち越しゴールは、ちょっとアビスパのこれまでのゴールには無かったようなカタチだったと思う。まずロングフィードをフアンマが競り勝って山岸に繋いだことが大きい。そしてやや被るように北島が受けて潰された。普通はこれで攻撃が切れるのだ。しかし山岸の読みが冴えており、相手のDFラインの間にこぼれたボールをいち早くコントロールしていく。それでも相手のラインは整っている上に長友も含めれば4人のDFがゴール前を塞いでいる。ここで秀逸なのはボールを良い位置に置き続けたということだろう。山岸を左に動かせたことは相手の狙いのはずで、どこかでミスるか「たとえ打たせてもいい」くらいの判断があっても無理はない。しかし迂闊に足を出せない中で、自陣右の裏を取られたく無かった長友が絞ってくる。一度キックフェイントがあり、「それしかない」タイミングで打たれた左足のシュートが名手スウォビィクの反応も及ばずに左隅に刺さった。1、2ではく、1、1.5のリズムだったように思う。素晴らしいゴラッソだった。

相手指揮官のアルベルも振り返って言及したように、このゴールが試合を大きく方向付けたと言えるだろう。ただの1点じゃなかった。

さらに後半開始直後に待望のルキアンによるゴールが生まれたことも大きい。田中達也の早いクロスにニアで合わせたヘディングゴールには伏線があったと考える。どの試合だったかは忘れたが、やはり同じような状況で田中はカーブをかけたクロスを選択し、中のルキアンはニアを欲しがっていた。その際はルキアンの判断により可能性を感じていたので、いつか今回のようなゴールを見たいなと思っていたからだ。そして今後に向けたバリエーションが出来たことにもなる。ルキアンに笑顔がなかったのは彼の苦悩を表していたし、チームメイトが集まって手荒に祝福するのもそうした彼の心情を察してのことだ。とても良いシーンだった。

さあまだ終わらない。ハードワークを続けるアビスパによって時間とスペースの無いFC東京のボールを奪ってからのロングフィード&ゴール×2。しめて5得点。今季の総得点と同じ数を叩き出して、得失点差でプラスになった。山岸の2点目は、これもボールコントロールが良く、最後はGKの動きを見ながら難しいコースを通した。そしてルキアンはやはり身体が強く、シュートの上手い選手だということを示した。

長谷部さんが言っているように、やるべきことの延長線上にこの快勝があったのだと思う。常に集中し、ゴールを守りゴールに襲いかかる。全員が一体となって闘えばきっとこれからも大丈夫だろう。そう思わせてくれる勝利だったし、それを昨季に感じたのもホームでのFC東京戦だったのは偶然にしてはよく出来ているなと思う。

連戦になるが週末の試合も期待している。

勝利

キックオフからテンション高く試合が進んでいた。京都が積極的だったと思う。ポストを叩くミドルシュートもあったが、村上がしっかり反応していたので枠内であっても問題なかった。そういう流れでもプランを共有して先制したことがまず評価できるし、2トップで獲ったことはさらに良かった。

山岸とフアンマの位置どりが良く、クルークスのクロスも完璧で、まさに3人で獲ったような得点だと思う。京都は得点も多いが失点も多いチームなので、そのどちらもあるかと予想していた。だから追加点が欲しいと思いながら見ていたし、前半はその雰囲気があったので、そこは残念な点だ。

しかし終わってみればクリーンシートで切り抜けた。それは本当に素晴らしい。京都に決定的なシーンもあったが決めさせなかった。今季の京都がリーグ戦で無得点に終わった試合は2つだけのようで、その相手はアビスパFC東京である。その東京と次節に対戦するわけで、どういう試合になるかは楽しみだ。

そしてやはり勝利が見たい。期待しよう。

好ゲーム

個人的には好感の持てる試合内容だった。シュート数では劣ったものの、決定機では勝ったと言えるだろう。入る時はアレが入るのだけど、まあ仕方ない。良い方向に進んでいることは感じられたので次に期待しよう。

前半は持たされる印象があったので意外な流れだった。後半になって途中から山岸が入るとより攻撃的な姿勢が出せたと思うし、そこからフアンマが下がるまでの時間帯で得点があれば良かった。湯澤の終盤での縦へのチャレンジなどもアツいシーンだったと思う。

話は変わるが、「夢スポ」で長めのアビスパ特集があった。それはクラブハウスでのケータリングの話題でとても素敵な内容だったので少し触れたい。どうやら杉山の発案から井原監督時代に始まったもので、トレーニング後にそのままクラブハウスで食事が摂れるというメリットがある。

担当されているのは福津の「からあげのふじや」さんで、このためにアスリートフードマイスターの資格を取ったという。残念ながら自慢のからあげを提供できないとのことで、それは脂質の問題なのだろう。選手たちの食事を見ることもそうそう無いが、長机に一人ずつ座って同じ方向を向いて食べている辺りは対策が徹底されているなと思った。ここで少し驚いたのは、グローリが納豆を食べていたことで、正確にはおなじみのあのパックに入った納豆を箸でグルグルと混ぜていた。納豆菌と大豆タンパクが健康に良いのはわかりきっているけど、さすがに外国人選手が納豆を混ぜている絵はちょっとインパクトがあったね。

ちょっと検索しただけでも、あのストイコビッチが大の納豆好きだったとかいう情報が出てくる。グローリはアビスパに在籍して3シーズンめになるのか。これだけを持って日本に馴染んでいるなどとは言わないが、来た経緯を考えると、彼のプロフェッショナルとしての態度が優れているからこうして違う文化のリーグに適応できているのだなと思える。

ケータリングについては、チームの強度はクラブのそれだとあらためて思えるトピックだった。まだまだシーズンは始まったばかり。ここから上を目指して欲しい。