嘆息の後日談

東レPPOにおける伊達の「ため息ばっかり!」からの楽天オープン。
あれが記事になったことでそれなりの影響はあったのではないかと。というのも、準々決勝を現地で観戦していたところ、後ろの座席の60代とおぼしき奥様方が、ミスショットにたいして思わず漏れる「あぁ〜」というため息の後に「ダメダメ笑、つい出ちゃうわねえ」と言ってすかさず選手を鼓舞するように拍手を送っていたんですね。このやりとりを聴いていて「ああ良かったな」と思いました。

そしてその日のクライマックスである錦織ーアルマグロ戦。僕は去年のベルディヒ戦も現地で観たので、その時と比較しても明らかにため息の量は減っていたし、錦織がミスをすればすかさず拍手や色んなコールで日本のエースを鼓舞していました。先日のデビスカップもかくやと思わせるような雰囲気でしたね。まあ何しろあやうくストレート負けしそうな展開でしたから、観客としても強いスペイン人プレイヤーに対して完全アウェーな空気にしてプレッシャーをかけなければ、という意識も手伝ってのことなのですが。ただし、第2セットでやや行き過ぎた感じを自分たちで察して(笑)、最終セットではちょっと緩めたのは国民性なんでしょうかね。

さてプレーの内容ですが、まずドローが発表された時点で期待していた錦織ーアルマグロのカード。期待通りの内容で、錦織が勝てなかったのは残念ですが、紛れもないトップクラスのプレーを見せてくれました。サーブやショットのスピードに勝るアルマグロに対して、錦織は多彩かつ力強いストロークでポイントを稼ぐ、という構図。実際のところ、お互いがストレートで勝ち損ねたと言えるような互角の内容でしたが、やはり2ブレークアップから追いつかれ、タイブレークの末に第1セットを落とした錦織は詰めが甘かったですね。それで気落ちしたのとディフェンディングチャンピオンという気負いから第2セットも劣勢でしたが、会場の雰囲気がそれを覆した言えなくもない。それくらいの雰囲気でした。最終的にはフィジカルコンディションの差で勝敗が決まりましたが間違いなく好勝負でしたね。

ちなみにドルゴポロフを生で観れたのもお宝でしたね。彼のプレーのいい意味での違和感が、独特の間合いになってポイントに繋がっていました。