錦織という才能

日韓戦をスルーして、ローランギャロスの錦織をずっと観ていました。
2セットダウンになっても「何か」が匂ってくる内容だったので、絶対に最後まで見届ける気持ちは途切れなかった(大袈裟)。
いや、とにかくすごいもの観たなと素直に思います。この試合の伏線を多少なりとも知っているだけに、今シーズン調子が良かったとされるヒラルドに対して、まだトップフォームにない錦織がどれだけやれるのかという疑問が常につきまとっていたわけです。しかし疑念は試合の立ち上がりから時間が経つにつれて消えていった。確かに2セットダウンではあったけど、この競技で見かけられる「流れ」が錦織にくる可能性を感じられたからです。
錦織の良さというか、いわゆる「世界で戦う」ために必要な勝負勘が随所に現れていて、ヒラルドとの相対的な差が薄れてきているのがわかりました。ひいき目であることは否定しませんが、彼のポイントの取り方はトップ20と比べてもまったく遜色無いと感じています。そういう彼のフォームが戻ってきている以上、勝負の行方はわからない、そういう気持ちでした。
おそらくフィジカルは70%くらいでしょう。それでも彼の長所は流れをつかむ勝負勘と、またそれを変える強靭なフォア。この両輪が全開で回転し始める。ドロップショットが恐ろしいまでのタイミングと精度で決まり、そして質そのもので優位に立てるフォアハンドが繰り出される姿は、まさに「クレー仕様」なのかもしれない。本人がクレー大好きと言っているのがよくわかりましたし、まさかあのレッドクレーで真価を発揮する日本人が出てくるとは夢にも思いません。
フランスの地でも、2回戦で錦織とジョコビッチが対戦することを期待されていたとか。勝っても驚かないが、やはりフィジカルがクレーでは問われるのだ。若さとその回復力に期待します。