フェデラー復権がここから始まる。そう思わせる圧勝劇でした。
この競技は相手があってのことだけど、1stセットにおけるフェデラーのパフォーマンスは強烈でしたよ!
この1年を振り返ると、若い選手たちの台頭とともに、「より早くなった展開と攻撃姿勢」という潮流が押し寄せつつありました。トップランカー達はおしなべて高い守備力も備えるようになり、これまでのエース級のストロークが単発では決まらずに、ともすれば切り返されて形勢が逆転するシーンが数多く見られるようになりました。そして更に守備を超える攻撃が必要になってきているわけです。もちろん、そうした現象はテニスの歴史そのもので、どの時代にも偉大なチャンピオンがおり、その存在を踏み越えていくことでプレーは進化していくのですね。
今日のフェデラーはそんなバージョンアップしつつあったテニスに、いとも簡単に(そう見える)適応してきたように見えました。若い選手よりもさらに早い展開と攻撃的なショットで序盤から一気に攻めたててペースをつかみ、その後は彼が持つ力の5割くらいの出力で「若いテニス」を押さえ込んだのです。「必要な時に必要なプレーができる」ということの強み、それをまざまざと見せつけたこの王者は、いよいよサンプラスのもつ4大大会「14勝」という金字塔に挑むことになりました。
オーガ(鬼)とまで称される彼のシナリオには、全豪で並び、そして悲願の全仏で勝って生涯グランドスラムと新記録の樹立という、映画でもないようなストーリーがあるのかもしれない。
まあ、そっちの楽しみは来年にとっておくとして、当面はジャパンオープンでの錦織のパフォーマンスに期待することにします。