錦織がまたやってくれた。
フェデラー破った錦織「最高の勝利の1つ」<ムチュア・マドリッド・オープン男子>
ライブ中継を観ていて感じたのは、やはり錦織のストロークは男子ツアーでもトップクラスであるということですね。名コーチで錦織のトラベリング・コーチでもあるブラッド・ギルバートは彼のバックハンドを褒めたということですが、それは現代テニスにおいてバックハンドストロークのスキルがとても重要だから、あえてそこを評価したということだろうなと考えています。前提として錦織のフォアハンドがとても素晴らしいということは言うまでもないので。
対フェデラー戦では彼のバックハンドに集めてストレスをかけるのが常識になっているから、右利きなら同じバックハンドで優位に立てるかどうかがポイントの一つになります。フェデラーは現代テニスではマイノリティになったシングルハンドでバックのストロークを打つので、どうしても高い打点や強いショットに対して不利な状況になりがち。それをありえない技術で対抗し続けているところが彼の凄さなのですが、やはり彼が負けるケースというのはバックハンドで厳しい状況になったときだと思う。
このゲームで錦織はフェデラーのバックハンドをほどよく攻めてプレッシャーをかけることが出来ていました。そして特筆したいのはフォアで負けていなかったことでしょう。数年前のことだったと思うが、「誰の何が自分にあったらいいか」という質問にプロテニス選手の男女問わず「フェデラーのフォアハンド」と答える選手がとても多かったのを記憶しています。そういう選手とストロークで渡り合えるところが、ナダルやフェレールをして「いずれはTOP5に入る」と言わしめているのだ。どうみてもセンスあるしね。
フェデラーらしい潔いコメントだと思う。画面からも見て取れる強風とクレーならではのイレギュラーがフレームショットなどを誘発していたけど、確かにそういうコンディションだとフェデラーの良さは減退しますね。そしてブレークチャンスでより多くのポイントを獲得していくことで試合は錦織が支配し始めます。ここ1年くらいを振り返ると、錦織の成長はサーブとリターンに顕著でとりわけリターンの技術向上が目覚ましい。もとよりストロークはトップレベルなので、それ以外を強化していけばおのずとTOP10、そしてTOP5が現実味を帯びてくるのは道理ですね。
とりあえずこの勝利で自己最高ランクを更新するのは確実。そしてやはり観たいのはクレーの王者、ナダルとのセミファイナルなのですが、今夜の試合も簡単ではないでしょうね。でも期待感は高まるフェデラー戦の内容でした。