105分

VAR導入、ATの厳格化によって「90分」の意識は消え去り、「105分」くらいで考えるべきなのだろう。クーリングブレイクもあってなおさらそう思えるのが、中断明けのこの2連戦だ。

湘南戦はミドル絡みで先制されたが、ATでシャハブが同点弾を決めてくれた。失点シーンは、村上が意表をつかれて何とか弾いたが、パンチングではなかったため相手に渡って決められたもの。あれをDFのミスとするなら、その前提としてGKとのコンセンサスがあった場合に限られるだろう。基本的にパンチングの処理が多かった村上だけに、そういうことになる。DFに出来ることは、予測の範囲を広く持つか、ある程度ヤマを張るくらいか。まあ、都合の良いケースで待っている敵との意識や反応は当然違うのだが。

湘南は本当によく戦っていたが、差を作り出せる選手によってATに同点弾をくらってしまうことに。シャハブは途中出場での得点は初のようだが、それもまた良い兆候と言える。もちろんスタメンを選手たちは望むだろうが、色んな戦い方ができるようになれば、相手との駆け引きもより深まってくるからだ。ウェリントンも残る構成での得点だったことも意味がある。

札幌戦は逆のケースがあって残念な結果になった。先制はシャハブの守備からミスを誘ってPKゲット。よく言われる「外国人選手との間合いの差」というものが影響したのかもしれない。そしてシャハブが素晴らしいキックをして先制。

またこれもよく言われるが「PKのお返し」があって、後半に追いつかれてしまう。映像を見る限り接触はないが、村上もボールに触れてはいない。そういう点では、決定機を妨害したと言えるだろう。だからイエローも出る。そもそもあんなにフリーで通されることが良くないのであって、その後の対処も足りていないのだ。まあ集中を保つことが困難なのは理解できるが。

それでも、またもATに亀川のスーパーな勝ち越し弾があって、さすがに「勝ったな」と思ったが、予想よりも長いATが続いて、予想外のミドルを決められてしまう。「こういうのがあるから面白いんだけどね」とは思いながらも、勝ち切ることの難しさを前節と逆の立場で感じることになった。

ちなみに試合終了のホイッスルの後で、うなだれるペトロヴィッチを見て、とても複雑な気持ちになったね。札幌はこの後、下位との直接対決が続くようだが、彼らが頑張ればリーグが盛り上がるのは間違いない。

2度のリードを守れなかったことに対して、長谷部さんは「ナンセンス」と言い切っていたが、結局そこで厳しくあり続けられるかどうかが、アビスパにとって極めて重要だということだ。

次はホームということで、当然ながら勝ち点3が求められる。期待しよう。