バルサがとうとう負けた。妙なハナシだけど、バルサは負けても「いい試合」になる。それもカンプノウでだからね。ホームだし、滅多に引かないバルサの高いDFラインは、スピード豊かなタレントが揃っているアトレティコにとっては挑みがいのある標的であり続けた。そして何よりもアウェーで引かないアトレティコの姿勢がこのゲームを盛り上げ、功を奏した格好。
F・トーレスのハマった時の凄さは、既に見慣れた感もあるけど、何しろチームでの得点王はマクシだったりするから、この若者が真にプレイクしたとは言えない。ただ、この日のようなチームのパフォーマンスが後ろ盾となれば、量産もありうる。
ドイツでは、ルーニーやリケルメらとともに、大会を代表するような輝きを見せるだろうとの予感があるタレントだ。しかし、こうした新しい世代を象徴する選手たちよりも輝いてしまいそうなベテランがいる。
この前の日に行われたマドリー対エスパニョール。かつてマケレレやフィーゴがいた時分の、あの、敵を飲み込むような強さを彷彿とさせる勝ち方(あの頃と違うのは右サイドの2人、ベッカムとシシーニョのプレーの質。この2人を足せばフィーゴの突破と絶妙クロスに)。しかも、後半早々に4点差となった後も最後の最後まで攻める姿勢を見せたのには、正直感動した。そしてその圧勝劇の中心にいたのは、33歳のジダン。僕が、人外の「宇宙人」的な凄さを感じるアスリートは2人。絶頂期のサンプラスとこのジダンだけど(予備軍にはフェデラーとロナウジーニョがいる)、そのジダンのコンディションがいいのは明らか。もし、あのブラジルを止める国があるとしたら、それはあの98年の時のような、一人の天才によって高揚感を得たフランスなのかもしれないと思い始めている。
ロナウジーニョが欠場となったバルサと、ロナウドの戻ったマドリー。前者は影響大なのは間違いないが、後者は特に影響はない、と見た。