テルドーナ

精度の差、だろうか。チャンスの質やその状況を考えると、前半は3-0でもおかしくなかった。3回の決定機の内で最も泥臭い場面でのみ点が獲れたということと、それがDFのチヨだったということは何かを暗示しているようでもある。
  
待望の1点が入った後、誰もが心によぎったであろう、
「ここからが問題だよな」
という一抹の不安。はからずもそれは現実のものとなり、終わってみれば追加点がとれなかったツケがまわってきた、ということになる。だけど、それでも残り30分までリードしていたのはホームのアビスパだったのだから、その状況でどのように振る舞うのかがまだ身に付いていなかった、ということこそが問題。
「なぜ、0-0なら守れて1-0じゃ守れないんだ?」
ここを改めて追求してほしい。その二つの状況には色んな差があることは容易に想像できるのだが、そんなことはプロなら誰だって頭に叩き込んでいることでしょう。「あの時間帯」にどれだけの確信をもってリスクをかけていたのか‥‥それがチームとして共有できていたなら、少なくとも2点目はなかったんじゃないか。
また遡って、後半が始まってから1点目を獲られるまでの「良くも悪くもないが、前半よりは悪い」流れにどう対処していこうとしたのか。リードを意識して守りに入る事だけは避けたいが、変に意識しないようにすると、逆に意識してしまうというのはよくあること。明らかにおよび腰になっていたアビスパはゴールへの意欲を減退させ、悪い流れを呼び込んでしまった。


「いえ、ハーフタイムに確認して同じことをやろうとしても、いいリズムだったらラインも動かなかったと思うんですけれど、失点の前にもちょっと危ないシーンがあったりすると、全体の考えが統一できないということです。前に行こうとする何人かの選手と、最終ラインも含めて守ろうという選手が全体的にラインを下げて自分の前にボールを置こうとする。それで、DFラインの前がそうとう広がった時間帯が、失点するシーンまで10分近くあったなと思います」
まさに、だよ。
  
よく言われる事だけど、
「結果がすべて」
という言葉は、本来目を向けるべき問題点を曖昧にしかねない。あらためて「何が良くて何が悪かったか」を洗い出して、次に活かしてほしい。プロセスにこだわるクラブであってほしいよ。
そして、準備期間の短さが「3試合で勝ち点2」という結果に繋がったという事実を、フロントは重く受け止めるべきだ。
  
昨日はテルにやられたな。あの嗅覚は今でも代表に値すると思うね。

「今日も素晴らしかったです。試合前に冗談ぽく『記念ゴールを決めてみろよ』と言っていたんですけれど。シュート練習ではいつも強烈なシュートを打ちますし、数年前まではテルドーナと言われるゴール感覚の優れた選手でした。こういう形でテルが決めるというのは彼が何かを持っているということでしょうし、あの同点ゴールで流れがこちらに傾いたというのがあると思っていますので、本当に伊東輝悦は良くやってくれたんじゃないかと思っています」