2024シーズン

興味深いシーズンになりそう。「クラブ史上最高の成績の後」というのは、本来なら意識されるべきではないが、まあ無理だよね。むしろ、変わったはずの景色をどう受け入れるのか、が気になるところだ。

良いイメージ、メンタリティ、経験値。獲得されたものを維持するのか、それとも面倒だと手放してしまうのか。そこは見届けたい。

2020シーズンから取り組まれてきたドラスティックな変化を好ましく見ていたし、より正しい競争がなされるようになっているのはピッチで示された。そういうことは既に触れてきたわけで、その先にはタイトルがあったということになる。見たかったものは、やはり見たいと思える選手たちで成し遂げられた。それが嬉しかった。

去るものもいたわけだけど、良い選手が高い評価を得て移籍するのは当たり前のことだ。そういう選手がいたからこその昨季があったのだし、これはこれで興味深い移籍になった。もちろん山岸のことで、彼が名古屋グランパスでどう活かされ、且つどう活かすか、は楽しみである。ユンカーのことはもとより、パトリックという存在も加わって、より幅のある構成になっているのが良いなと思う。

山岸はメディアへの露出など、いわばフロントマンとしての活躍もあったわけで、そこも抜けた穴になるのかどうか。彼は「アビスパのユニフォームに星をつけたい」と事あるごとに発信していて、それが彼だけのものでは無いにせよ、そのための振る舞いをピッチで見せていたと思う。だから見事だったなと言う他はない。

それにしても名古屋サイドはルヴァンの対戦の直後くらいに声をかけていたとのことで、それは実に早い対応をしたなと思う。というか直接対決がもうないというタイミングを待っていたのかもしれないな。そういう評価を名古屋のようなクラブから得ていたのかと。凄いね。

その他の出入りに関しては想像通りだったり、そうでなかったり。半々かな。まあ水準が上がってきたことは間違いない。さあどうなるか。

2023最終節、そして表彰

好調同士の対戦ということで、スコアはもっと動くかと思っていた。しかしそうはならずにATで惜しい失点があり、そのまま終了。途中まではとても引き締まった良い試合だったが。まあ、今季の経緯を見続けていれば、これも頷けると言えばそうだし、指揮官は信じるだけだろう。それにしても永石は凄かったね。

広島とすれば明確に山岸をどれだけ封じるかを重要なタスクにするわけで、それは実際どの試合でもそうだ。しかもわかりやすく狙われる役割なので、厳しい立場でもある。その中でリーグ戦全試合に先発し、最終盤のここ数節でもほぼフル出場していることの重みを感じる。そして、今季のJリーグ 優秀選手賞に選出された。おめでとうと言いたいし、素晴らしい成果だ。とりわけFWからの選出に価値があると思う。

井手口や奈良についても良かったなと思えるし、長谷部さんに関しては、優勝チームを除いた中での「最優秀」だったと。月間での受賞が2回あったが、やはりタイトルというのは目に見えて評価の後押しになるということなのかな。これらもまたアビスパ福岡の歴史に刻まれる。

ほろ苦い最終節になったが、この試合だけ見ても十分評価できるものだ。そしてアビスパにはまだチャリティマッチが用意されている。選手は大変だろうが「この対戦がどうなるのか」は単純に興味がある。期待しよう。

ファイナリスト対戦で勝利

やはり難しい試合だったと思う。と同時に面白い試合でもあった。もちろん勝ったからということなのだけど、パフォーマンスを落としていないアビスパと、ケガ人や体制のことなどでの問題を抱える浦和の対戦は、先日のルヴァンカップ ファイナルのアングルもあり、どうなるかと事前に思っていた。

それはまず、アウェイの埼スタで今のアビスパがどう振る舞うか、という興味がまずあったわけで、それは杞憂に終わった。それこそ先日の国立での経験が活かされたのかもしれないし、動員数を見渡すまでもなく、ポジれるところは利用するしたたかさも獲得しているだろう。

失点は良くないが、その後での前半内での同点がやはり大きかった。ある程度狙った形のアレンジがあって、山岸の狙いがあの状況に見事にハマった。ズルいポストとダイレクトなスルーパスの流れが紺野のゴールを呼び込む。ループを打てるバウンド含めて見事なアシストだった。これはこちらの考え以上に相手にダメージを与えたようで、1点以上の価値があったのかもしれない。

後半の2点も素晴らしく、特に「3点目」というのは大きかった。強いチームの取り方に見えたが、そこは明確な狙いがあってのことだろう。

残念ながらこの後に失点してしまうが、そこは見ていて同点もありうるなと思えるものだった。

これで6位ということになり、次の最終戦は浦和と入れ替わっての3位の広島。最終戦を上位対決で迎えることになり、またこれまでと違う対戦を見られれば良いなと思う。もちろんホームでは勝利が求められることになるので、期待しよう。

最終盤に向けて

ガンバは外国籍の選手が軒並み負傷や出場停止ということだったが、それをあまり感じさせない。もちろん攻撃面、とりわけフィニッシュに絡む高いクオリティが薄れたと言えるのかもしれないが。

しかし鈴木武蔵で十分に効いていたわけで、彼の今季を追いかけていたわけでもないが、スタメンが7か月ぶりというのは意外である。

そういう相手に前半は苦しんだし、あの失点はいつか来た道だなと。そして永石は反応していたが味方がブラインドになるというね。

ややふわっとした前半が終わって、そして後半の入りでスイッチが切り替わる。アビスパは、円陣がほどけてからキックオフまで、ややラフに見えるほど早く始めてザクザクと進んでいく。

左サイドのスローインからの流れはうまくいったようにも思えないが、前嶋がなんとなく取り返して中央へ。中央で紺野がフリーになっているところへ早いパスをつけて、3人目の山岸が駆け引きを制してニアに送り込んで同点ゴール。2年連続二桁を達成した。PKのことはもはやネタになりつつあるようだけど、試合には勝ってしまう。

ルキアンが久しぶりに出場し、田代の気の利いたクロスがゴールに結びついた。ここではガンバ側の落胆が目について、まさかという逆転ゴールだった。相手にすれば、山岸、ウェリントンがいる以上、ファーサイドを意識させられるところのスペースにルキアンがハマって、そこは田代も感じていたのだと思う。ラッキーがあったとしても意図は感じられた。違うかもだけど笑。

これでリーグ戦の連敗を止めて、また最終盤に向けて良い流れが出来たのではないだろうか。次は中断期間後に浦和ふたたび、ということでこれはまた面白い対戦だと思う。期待しよう。

ルヴァンカップ ファイナル ☆

前の投稿で「願うのは勝利だけ」などと書いたが、実際にそうなってしまうと強い喜びよりも「マジか……」という気持ちが先にあったのは不思議な感覚だった。驚きというより非現実感寄りのものだ。そうして夜になって、しみじみ良かったなと感じられた。

それにしても良いパフォーマンス、面白い試合だった。前がシャドーで守備的な印象を持ったスタメンだが、その前がたった5分で先制点を取るとは思わない。紺野のあのコースへの早いグラウンダーも同様に。だからこれは用意されたものだと感じたし、実際そうだという。湯澤のオーバーラップも少し効いたかもしれない。

この時点で「長谷部スペシャルは用意されていたのだ」と知る。だからと言って、それがゴールに直結するにはクオリティが要るわけで、そこは紺野や前が良いプレーをしたということだ。

追加点のシーンはCKの残りで紺野が左サイドにいて、利き足のグラウンダーを、これもレフティの宮に当てた。開始直後、前半ATという理想的すぎる点の取り方だったが、試合全体で振り返ると先制点が決勝点だったと言えるのかもしれない。それを狙って取った。

全体としては、ボールの取り方が良かったと思う。そこも準備したものがあったのかと。「別物」としてセッティングされたものがある中で、山岸はいつもより周りを活かす振る舞いだったかと。そして攻守で期待されたものをそのまま表現していたように見えた。PKは残念だが、独特な雰囲気の中で、その場に立った者にしかわからないことがあるのは間違いない。

このファイナルの戦い方はこの1試合だけのことでなく、今季のこれまでのアビスパのマイナーチェンジの中で仕上がったものだ。そして素晴らしすぎる成果を得た。ここもまた面白い。4バック、3バック、5バック寄りの3バック。2トップ、1トップ、その役割とバリエーション。続出した主力の負傷による影響の中で工夫を重ねてあの形になった。だから良すぎるくらいのタイミングだったと言えそうだ。

加えるなら、シーズン当初に期待された井手口と紺野が離脱。結構長いものになったが、ここにきて期待されたものを発揮して、コンディションもいかにも良さそう。そこもちょっと面白い成り行き。

あとはルヴァンでの永石も。今季のGKの起用方、システムみたいなものを崩すことでストーリーになった。

そういういろんな流れがここに集約してチームとしてファイナリストの顔になり、そして勝った。勝ち切った。

試合前の露出、そして何と言っても優勝後の記事の量。もちろん試合内容について分析しているものが多いが、「そこ」までには色んなことがあったということだ。それを言い出せば「遡ること2020年」までになるが、さすがにもういいか。

リーグは続くが、とにかく優勝おめでとう、そしてありがとう!

1年前

いや、まさかの連続4失点。前回のタイトルを後悔している。

とは言え「この期間のリーグ2試合」のことは注目していたので、軽い驚きとともに何とも興味深い。つまるところ「別物」なのだということで良いのかと。

次は「ファイナリスト」として臨むわけで、やるべきこともまた変わる。そして出来ることをやるだけだろう。個人でなくチームのためにどうあるべきか。そこにフォーカスして「今季ベスト」に向かっていけたら。距離感だったり、連携など高めてきたことを、1試合通じてやりきるってことなのかと。

まあ、当然駆け引きはあるし、相手は「カップ戦のファイナル」に長けている。わかりきっていることだが、考えすぎても良くないだろう。こうして通り一遍のことを書き連ねていながら、願うのは勝利だけだ。その勝利には丁寧な作業が必要だと思う。だから「90分(プラスα)集中して」という極めて普通のことしか言えない。

「大敗」と言われる試合でも矢面に立つテンションがピッチ内外で見られた。そうしてこちらは熱を保たれる。

1年前は残留争い、今週末ルヴァンカップファイナル。なんということだ。

4失点

試合後のインタビューで、インタビュアーによる「遠野選手は等々力での対アビスパ戦、3年連続ゴールです」との言及があって、もはや良かったねと拍手を贈るしかない。試合中に「またコイツか〜笑」と感じたのは当たっていたのだ。ハーフバウンドのダイレクト、というのも「いつか見たヤツ」だった。

スコアは天皇杯と同じ。しかし内容は違うしポジティブに捉えていい部分が増えた。良いゴールも見られたしね。まあ2失点目が大きかったし、相手にすれば狙い通りだったか。

1点目は面白い形だったが、おそらく壁の設定を間違ったのだろう。失点から同点までの時間が短く、このまま前半は終了。もちろんここで「こないだと同じか」と思うのは当然だろう。だから、アビスパがどう振る舞うのかは注目されるわけで、その中でのあの逆転ゴールには痺れた。

前嶋からの共通の狙いのもとの良いクロスがあり、山岸は駆け引きからの強ヘッド。チョン ソンリョンの素晴らしい反応があったが、こぼれ球でさらに出し抜いてのゴール。相手にすれば止めたはずのものが何故かゴールに、という気持ちだっただろう。落ち着いていなければ、あれは決まらないはずだ。

そして80分過ぎまで来た。まあここからのことはいいが、面白い試合になったことは間違いないし、川崎には「ACL頑張ってね」とエールを贈りたい。

長谷部監督のコメントで、遠野を名指しで称賛していたのもちょっと面白いし、なかなか無いことだ。

こういうこともある、だからこれからどうするか。ということでまた次に期待しよう。