最終盤に向けて

ガンバは外国籍の選手が軒並み負傷や出場停止ということだったが、それをあまり感じさせない。もちろん攻撃面、とりわけフィニッシュに絡む高いクオリティが薄れたと言えるのかもしれないが。

しかし鈴木武蔵で十分に効いていたわけで、彼の今季を追いかけていたわけでもないが、スタメンが7か月ぶりというのは意外である。

そういう相手に前半は苦しんだし、あの失点はいつか来た道だなと。そして永石は反応していたが味方がブラインドになるというね。

ややふわっとした前半が終わって、そして後半の入りでスイッチが切り替わる。アビスパは、円陣がほどけてからキックオフまで、ややラフに見えるほど早く始めてザクザクと進んでいく。

左サイドのスローインからの流れはうまくいったようにも思えないが、前嶋がなんとなく取り返して中央へ。中央で紺野がフリーになっているところへ早いパスをつけて、3人目の山岸が駆け引きを制してニアに送り込んで同点ゴール。2年連続二桁を達成した。PKのことはもはやネタになりつつあるようだけど、試合には勝ってしまう。

ルキアンが久しぶりに出場し、田代の気の利いたクロスがゴールに結びついた。ここではガンバ側の落胆が目について、まさかという逆転ゴールだった。相手にすれば、山岸、ウェリントンがいる以上、ファーサイドを意識させられるところのスペースにルキアンがハマって、そこは田代も感じていたのだと思う。ラッキーがあったとしても意図は感じられた。違うかもだけど笑。

これでリーグ戦の連敗を止めて、また最終盤に向けて良い流れが出来たのではないだろうか。次は中断期間後に浦和ふたたび、ということでこれはまた面白い対戦だと思う。期待しよう。

ルヴァンカップ ファイナル ☆

前の投稿で「願うのは勝利だけ」などと書いたが、実際にそうなってしまうと強い喜びよりも「マジか……」という気持ちが先にあったのは不思議な感覚だった。驚きというより非現実感寄りのものだ。そうして夜になって、しみじみ良かったなと感じられた。

それにしても良いパフォーマンス、面白い試合だった。前がシャドーで守備的な印象を持ったスタメンだが、その前がたった5分で先制点を取るとは思わない。紺野のあのコースへの早いグラウンダーも同様に。だからこれは用意されたものだと感じたし、実際そうだという。湯澤のオーバーラップも少し効いたかもしれない。

この時点で「長谷部スペシャルは用意されていたのだ」と知る。だからと言って、それがゴールに直結するにはクオリティが要るわけで、そこは紺野や前が良いプレーをしたということだ。

追加点のシーンはCKの残りで紺野が左サイドにいて、利き足のグラウンダーを、これもレフティの宮に当てた。開始直後、前半ATという理想的すぎる点の取り方だったが、試合全体で振り返ると先制点が決勝点だったと言えるのかもしれない。それを狙って取った。

全体としては、ボールの取り方が良かったと思う。そこも準備したものがあったのかと。「別物」としてセッティングされたものがある中で、山岸はいつもより周りを活かす振る舞いだったかと。そして攻守で期待されたものをそのまま表現していたように見えた。PKは残念だが、独特な雰囲気の中で、その場に立った者にしかわからないことがあるのは間違いない。

このファイナルの戦い方はこの1試合だけのことでなく、今季のこれまでのアビスパのマイナーチェンジの中で仕上がったものだ。そして素晴らしすぎる成果を得た。ここもまた面白い。4バック、3バック、5バック寄りの3バック。2トップ、1トップ、その役割とバリエーション。続出した主力の負傷による影響の中で工夫を重ねてあの形になった。だから良すぎるくらいのタイミングだったと言えそうだ。

加えるなら、シーズン当初に期待された井手口と紺野が離脱。結構長いものになったが、ここにきて期待されたものを発揮して、コンディションもいかにも良さそう。そこもちょっと面白い成り行き。

あとはルヴァンでの永石も。今季のGKの起用方、システムみたいなものを崩すことでストーリーになった。

そういういろんな流れがここに集約してチームとしてファイナリストの顔になり、そして勝った。勝ち切った。

試合前の露出、そして何と言っても優勝後の記事の量。もちろん試合内容について分析しているものが多いが、「そこ」までには色んなことがあったということだ。それを言い出せば「遡ること2020年」までになるが、さすがにもういいか。

リーグは続くが、とにかく優勝おめでとう、そしてありがとう!

1年前

いや、まさかの連続4失点。前回のタイトルを後悔している。

とは言え「この期間のリーグ2試合」のことは注目していたので、軽い驚きとともに何とも興味深い。つまるところ「別物」なのだということで良いのかと。

次は「ファイナリスト」として臨むわけで、やるべきこともまた変わる。そして出来ることをやるだけだろう。個人でなくチームのためにどうあるべきか。そこにフォーカスして「今季ベスト」に向かっていけたら。距離感だったり、連携など高めてきたことを、1試合通じてやりきるってことなのかと。

まあ、当然駆け引きはあるし、相手は「カップ戦のファイナル」に長けている。わかりきっていることだが、考えすぎても良くないだろう。こうして通り一遍のことを書き連ねていながら、願うのは勝利だけだ。その勝利には丁寧な作業が必要だと思う。だから「90分(プラスα)集中して」という極めて普通のことしか言えない。

「大敗」と言われる試合でも矢面に立つテンションがピッチ内外で見られた。そうしてこちらは熱を保たれる。

1年前は残留争い、今週末ルヴァンカップファイナル。なんということだ。

4失点

試合後のインタビューで、インタビュアーによる「遠野選手は等々力での対アビスパ戦、3年連続ゴールです」との言及があって、もはや良かったねと拍手を贈るしかない。試合中に「またコイツか〜笑」と感じたのは当たっていたのだ。ハーフバウンドのダイレクト、というのも「いつか見たヤツ」だった。

スコアは天皇杯と同じ。しかし内容は違うしポジティブに捉えていい部分が増えた。良いゴールも見られたしね。まあ2失点目が大きかったし、相手にすれば狙い通りだったか。

1点目は面白い形だったが、おそらく壁の設定を間違ったのだろう。失点から同点までの時間が短く、このまま前半は終了。もちろんここで「こないだと同じか」と思うのは当然だろう。だから、アビスパがどう振る舞うのかは注目されるわけで、その中でのあの逆転ゴールには痺れた。

前嶋からの共通の狙いのもとの良いクロスがあり、山岸は駆け引きからの強ヘッド。チョン ソンリョンの素晴らしい反応があったが、こぼれ球でさらに出し抜いてのゴール。相手にすれば止めたはずのものが何故かゴールに、という気持ちだっただろう。落ち着いていなければ、あれは決まらないはずだ。

そして80分過ぎまで来た。まあここからのことはいいが、面白い試合になったことは間違いないし、川崎には「ACL頑張ってね」とエールを贈りたい。

長谷部監督のコメントで、遠野を名指しで称賛していたのもちょっと面白いし、なかなか無いことだ。

こういうこともある、だからこれからどうするか。ということでまた次に期待しよう。

ルヴァンカップ セミファイナル 2nd Leg

とうとうアビスパ福岡ルヴァンカップ ファイナルへ。それはとても誇らしいものだが、その前に「名古屋にH&Aで連勝した」という事実にまず驚いてしまった。

もとより長谷部アビスパは「カップ戦で生きる」タイプだなと思っていたので、昨年のセミファイナル進出は、リーグ戦の成績に比して相応しいもののように感じた。しかし、先日の天皇杯同様、上手い相手に屈することになったことを思い出す。

それにしても見ている方も濃密な3連戦だった。選手たちにとっては良くも悪くも貴重な体験だっただろうし、それぞれ違うアビスパだったが、修練とばかりに集中して走り切って素晴らしい結果を得た。相手のことを思えば、カップ戦のどちらも敗退しておかしくないのだから。

スコアを思えばやはり紙一重なのだけど、そういう戦い方での成功体験も積み上げられて、その「紙」は厚くなったなと感じている。やるべきことをチームで共有しながら、高め合っているように見える。逆に綱渡りの綱は細くなっているのかも。それでも乗れている。

この試合に関しては、とにかく守備が良かったし、永石の好セーブや良い判断がチームに落ち着きをもたらしたと思う。ランゲラックも相変わらず良かったが、失点シーンはケネディの高さに判断を狂わされたと言えるだろう。あれは仕方ないね。

キリがない。ちなみに相手に永井がいたが、アビスパがファイナルに進むことをどう感じていたか、はちょっと気になる。

歴史は作られて、そして。期待は膨らむし「今のアビスパなら」ということをより強く感じられるようになっている。楽しみだ。

 

ルヴァンカップ セミファイナル 1st Leg

スタメンを見たときには「守備的だな」とは感じた。もし4バックだったら、との考えもよぎったが、さすがに無いだろうし、実際そうなった。

試合前の練習では、ベンチ組が雰囲気の良さを感じさせてくれて、後半に彼らが決めるのかもしれない、などと想像したりながらキックオフを待った。

前半の印象は良い意味で新鮮だった。「中の4人」いや3人のポジショニングとかタスクのことを考えながら見ていると軽く混乱する。もちろん流動性はあるべきだが、組み合わせ込みでどうなるのか読めなかったし、相手もそうだったかもしれない。

残念ながら平塚が負傷交代となり、紺野がスクランブルで。こういう流れだったから紺野は再交代になったのかな。

紺野はやはり特徴のある選手で、右サイド奥でどうするのかを常に狙っているようでもある。それにしてもあの得点の匂いがしなかった状況から、おそらく相手のミスでその右奥にボールが転がって、チャレンジしていた紺野が誰よりも早く反応し、左足クロス。

鶴野のゴールははっきり言って「入らない」と思っていた。そういう角度から見ていたので、転がっているボールも外だと。しかしゴールとわかって「何があったのか」となる。リプレイを見るとランゲラックの脇とポストの間を通っているが、それがどれだけありえないことなのかもよくわかる。

ランゲラックにすれば、そこはあえて閉じずに自分の左もケアする方がより効率的なはずだし、そこは良いGKだからこそのことなのかも。いや驚いたし、前半終了間際という時間帯込みで価値のあるものになった。

なにしろ、これが勝敗をわけるのだから。

さあ、アウェイの2nd Legが控えており、難しいことはわかっているが「今のアビスパなら」と思わせるパフォーマンスを見せてくれていることは大きな事実。期待しよう。

天皇杯セミファイナル

そりゃあ、もちろん残念な結果だ。しかし良いものを見られたなとも思う。やはり「天皇杯の準決勝の中継」というだけで少しグッとくるわけで、少なくとも前半に関してはインパクトを与えたと言えるのではないだろうか。

良いゴールもあり、クオリティを示すこともできた。なにしろ相手は直近のACLのアウェイで蔚山に勝ったチームなのだ。あの試合を見て「これは難しい」と思っていたので、前半はまさに上出来と言えるものだった。

しかし。なんというか「場数」の差を感じる試合だと言えるかもしれない。だからそこを埋めてステージを上げる作業をしているのだと受け止めている。「史上初」を猛烈に更新している今のアビスパが、この強い相手との経験を活かせるかどうか。川崎はそういうスケジュールになっていたと思うし、見事に繋げたのだ。

次はホームということで、求められるのは勝利。期待しよう。