強度の差

第30節 2018年8月26日(日)18:03KO デンカS
やはり積み上げてきたものがこの試合では差となって見えたのだと思う。共通理解ということは戦術に限らずプレー強度の意味でも今のアビスパのベースになっている。それはプロ意識と言ってもいいだろう。そういうチームのプレーを観ることは楽しいし、納得もできるものだ。

この試合では前半に石津とドゥドゥの良いコンビネーションから2点が生まれた。守備面では危うい時間帯もあったがそれゆえの2得点ということも言えるのだと思う。惜しむらくは3点目を早めに取れると良かったが、2-0という状況で緊張感を持って凌ぎきったことは評価できる。

レオはまだまだという印象。ユインスは相変わらずでスタメンでも良いと思うが彼のような選手が途中交代で出て来るのは相手にとってはプレッシャーだろう。献身性もあり積極的でもある彼の好判断で3点目が入ったことは後半の苦しい戦いを払拭する意味でも貴重だった。

ちなみに今節のこの試合の時間帯でDAZN原博実に語らせるかたちでライブ中継をやっていた。
そこで印象的だったのは、ジョーハットトリックを見るにつけ「味方はクロスを出しやすいだろうね、多少アバウトでも決めてくれるから。ただそういう心持ちだとかえって正確なクロスが出せるもの」という話だった。それはありそうだし、ジョーの3点はどれもアバウトというよりもしっかり危険なところに出せているように見えるから。しかし高さがありスピードもあってテクニックも十分、こういうブラジル人が久しぶりに来たなと思う。5試合で10得点‥とんでもないな。

そしてあえて触れるなら久保とトーレスのJ1初ゴールだろう。


久保のはまず自身が起点となってからうまくスペースを作って、トラップから早いタイミングで最高のコースに打った。この一連の流れがまさに非凡であるし、トーレスはサイドで起点になろうとしていたが判断よく猛然と中央のスペースにエンドラインと並行に走りながらクロスを呼び込んだ。これぞストライカーだと言えるプレーだったと思う。J1行きたいねえ。

松田&石津&森本

第27節 2018年8月4日(土)18:03KO 中銀スタ
ドゥドゥが出れなかったが、前線の3人が躍動し松田のスーパーな2ゴールで勝ち切った。特に2点目は凄すぎてスタジアムが静まり返ったほどだ。石津とのパス交換からうまくコントロールし、30mくらいの位置から右足を振り抜くとほぼ無回転のシュートがGKの手に触れられながらも右上隅のバーに当たってゴール内に落ちる、というものだった。
これはあまり見たことのないパターンのもので中継を見ていても「え、入ってるみたいだけど?」という間があってから歓声が沸き起こった。
1点目も素晴らしかったし、森本が相手DFの隙をついて折り返した浮き玉を松田がダイレクトで決めたものだが、その際に石津が判断良く「フリー」と声をかけたという。
松田は今季も継続して頑張ってきていたし、そういう選手にはちゃんと見返りがあるのだなと思った。

ただしここで触れなければならないのは得点直後の失点だろう。リードした後でなんとなくのプレーが始まるとあのようなことになってしまう。リードを意識しすぎても弱腰になるだけだろうし、しっかりと主導権を握るために強度を上げることが必要だっただろう。同点になってからはできていたし、後半はそれこそチームとして守備意識を高く保って集中を切らさなかった。もちろん3点目は欲しかったけれど、甲府としては嫌なことをできていたと思う。これでホームでの敗戦をやり返した。

前半途中でシステムを変更し、後半は一丸となって勝ち切った。とても強度のあるパフォーマンスで穴のないチームになっていたと感じられたのは良かったと思う。続けていけばその結果によって内容の向上に繋がるだろう。流れを引き寄せられるか、という意味で次は本当に大事。

再スタート

第23節 2018年7月15日(日)18:03KO レベスタ
シーズン後半のスタートが延期になり、天皇杯での大敗のあとでの再スタート。あのPKの判定はおかしかったが、それ以外は本当に良いものが観れたなと思う。

前半は讃岐がペースを上げていたが、やはり気温もあって次第に下がっていくことになる。だから先制したことは狙い通りだったと思うが、早い時間帯でのリードが必ずしも優位であるとは限らないことはよく知っているので、ことさらに慌てることもなかったアビスパ。その中で良い位置で松田がファウルを得てからの惇のFKは時間帯や展開、駆け引きなど含めて素晴らしいゴールだった。
その後の振る舞いもチームを鼓舞するもので、キャプテンマークにふさわしいものだったと思う。開幕試合でも彼がキャプテンだったし、節目でそうなっていることの意味を実際に示している。

そうして勢いを得たチームは後半のCKからの實藤の貴重な逆転ゴールと、駒野のスーパーなゴラッソで突き放した。なんといっても駒野のシュートは完璧なもので、ワールドカップを見続けていた直後でもまさに「ワールドクラス」と言えるものだったと思う。この日、質の高いクロスなどで状態の良さを感じさせていた中でもやや唐突すぎるくらいのスーパーゴールは何度観ても良い。

シュート数でも現れているが、概ねアビスパがコントロールした内容であり、それでも二つのスーパーなゴールに遭遇した讃岐はある意味運が悪かったと言える。
アビスパにすればこれまで通りのパフォーマンスであったし、それを夏が終わるまで続けることが出来るのか、ブラッシュアップ出来るのかは見届けたい。大混戦となっているので「夏を制する」ということがカギになるのだろうと思う。

延期の後で

連敗と引き分け、そして延期という流れでの明日の天皇杯
この巡り合わせはちょっと面白いし、本来なら優先度の低い天皇杯だがリーグ戦への影響を考えると状況は少し複雑になる。主力がフレッシュなのと、実戦の間隔が空いてしまうことをどうとらえるのか。

そういう意味でも、また相手が札幌ということにおいても明日の試合はちょっと楽しみだ。

連敗

第20節 2018年6月23日(土)19:03KO 大銀ド
新潟、大分に連敗。それまでも好調だったが松本に負けるなど、やはり力のあるチームにやられている。それは不思議なことではないが甲府や大宮など降格組にもれなく負けているのはどうしてなのか。そこはあらためて考える必要があるのかもしれない。
連敗したとは言え、内容は悪くないし強度のあるパフォーマンスが継続できていると思う。そのパワーをより効率よく攻撃に繋げられたら良いのになと感じている。連敗を防ぎたいという気概も感じられたしこのままで良いと思う。

大分戦では松田が累積で不在の左を若い平尾に任せたのは面白い判断だと思った。これからのことを考えるなら場数を踏ませるのはアリだし、実際スタメンにふさわしいプレーぶりだったと思う。とは言え対面する相手との駆け引きであったり失点シーンでの守備判断など向上していってほしい。後半ではよいコンビネーションからの惜しいシュートもあった。

上位対決でなおかつ隣県のダービーということで面白いゲームだったと思う。惇は期するものがあっただろうし、そのようなコメントもしていたから残念な想いをしていると思うけれど、もはや不動の中心選手となっているところを十分にアピールできたのではないか。また切り替えてチームを引っ張っていってほしい。

篠原の感情表現は個人的には良いなと思った。余計なカードをもらう可能性もあったが、彼には藤本のは芝居だと確信があり審判も止めなかったのだから。はっきりと勝ちたいという気持ちを発散してチームを鼓舞した。とは言えプレー自体は冷静なものなので良い選手が来てくれたなと思う。

次は本当に大事になってくる。上位対決という側面は考慮せず、ただ対面する相手に打ち勝つことに集中してほしい。

コロンビアに勝利

コロンビア vs. 日本(グループH) 試合情報 - ロシアワールドカップ特集 - スポーツナビ
スタメンで少しの驚きがあり、そして開始直後のプレッシングで「おっ」と思った矢先に「こんなことがあるのか」という感じだった。
つまり、スタメンは予想よりも攻撃的で怖さもある半面、少し楽しみが増したのは間違いない。香川ー乾ー柴崎というセットは相性の良さを感じさせていたが、守備面でコロンビア相手に不安がある。相手はハメスがベンチということだがそれでも力の差はあったはずだ。そういうマイナスの部分を一気に解消してしまったあの退場劇は、結局賭けに出た西野とそれに答えた攻撃陣が奇襲的に開始直後からプレッシャーをかけて積極性を見せたことでなされたと言えるのではないか。
とは言え、なかなかの運の良さを感じさせるシーンで、唯一の国内組である昌子(彼もまた大抜擢だった)がヘッドでクリアしたボールが中盤の香川にダイレクトで入り、それをさらにダイレクトで判断よく裏へ浮き玉を出して大迫と競り合ってもつれたコロンビアDFの足に当たって大迫の前に転がり、それをシュートしたがブロックされて、素晴らしいポジショニングの香川が打ったシュートをサンチェスが出した手に当ててしまった。カウンターとしては理想的な速さだったが、サンチェスもまさかジャンプした自分の手の高さに本当に当たるとは思いもしないだろう。
気になるのはそのシュートが手に当たらなかった場合、枠にいったのかどうか。TVerのマルチアングルは便利で見てみたがクロスバーに当たりそうな軌道‥

PKを香川が落ち着いて決めたことでヘタすると勝てる状況になったけれど、追加点は要るはずなのでその後の乾や大迫のシュートミスは残念だったが、これがワールドカップということだろう。すでに望外の状況なので楽しめた。

そういう相手の思惑を感じてコロンビアは失点直後と違いリトリートをし始める。格上とは言えほぼ85分を10人でやりきるには省エネでいくよりない。日本の攻撃から数回チャンスもあり、そのカウンターからコロンビアも十分チャンスを作っていた。ちなみに縦に速い展開は途中からほぼ潰されてしまっていたので、彼らはその日本代表を研究していたと思われる。だからまあ怪我の功名とはこのことなのかと。

そして悪い予感しかなかったあのFKで失点。川島のポジショニングのまずさとキンテーロの判断の良さが見て取れた。

後半も出だしから攻める姿勢を見せたのが良かったし、それは期待していたのだけどなかなか得点につながらない。そこでコロンビアがハメスを投入するもオンザボール以外でまったく役に立たないコンディションの選手が、人数少ない側に入るとびっくりするくらい弱いチームになるんだなと。この大会ではそうそう見られないものを見た気がする。

それでも存在感が薄れてきた香川を下げて本田投入で雰囲気を変えて、そこからCKで大迫がヘッドでゴールを決めるとか、やはり考えもしない。それが起きたのでイマイチ現実感がなかったよ。

絶対値として日本は悪くなかった。しかし次がどうなるのかはわからない。ただし西野の抜擢したスタメンと交代選手がモロに得点につながった事実だけは残る。こんな巡り合わせも二度とないだろうし、もうここからはお祭りでいいのかもしれない。少なくとも3戦目まで確実に楽しめる。

ワールドカップを前に

さきほどパラグアイ戦が終わり、ぬるさを感じながらも絶対的な評価としてこの「日本代表」はまあ良かった。
わかりきったことだが「トップ下」でより輝くのは香川だし、本田がそこに居座るならそれは彼自身を美味しくするためにいることになる。それを周囲が理解し、受け入れるならアリ。問題はそれでワールドカップの舞台で通用するのかということだ。個人的には4年前に答えは出たのだと思っている。

残念なのは絶対値と適正で圧倒するはずの香川がコンディションを落とし、現時点では周囲とのレベル差から連携を欠いているということがある。対して本田は今の代表の中で親和性が高い。おそらく本番ではそれが顕著になる可能性がある。重ねて残念だ。

パラグアイ戦で起きたことはほぼ忘れていいと思う。あんなレベルの相手はどのグループにも存在しないし、スイスの控えが見せたレベルが水準だろう。フランス大会からの連続出場だが、日本代表が結果を出す条件としてチーム全体のコンディションの良さが上げられる。技術や戦術で勝負できない以上、そこが生命線とも思える。

スイス戦で見た限りではあのスタメン組は悪くない。コンディションだけは。ただし吉田と川島は期待できないと感じた。本田や長友は良さそうだがおそらく個人のアピールに終始しそうだ。チームとしてはパラグアイ戦の方がまとまりを感じたし、実際こちらの方が良いチームだろう。だからといって良いとこどりで折衷してしまうと完全に終わる気がする。

スイス戦のチームでコロンビア戦に臨み、その予想される結果を鑑みてそのあとの2試合に勝負をかける。それが最善であるように感じている。半端なのが一番よくない。「ホンダたち」と心中するか、切り捨てるか。

それにしても岡崎が代表の象徴になれず残念だが、彼にはレスターでの犠牲心をもって存在感を示して欲しい。