強者たち

初出場のツアーファイナルズ初戦で地元マレーに初勝利。初物づくしでした。
内容から言えばお互い低調な立ち上がりでしたね。マレーにすればこのままでも勝てると感じていたでしょう。惜しむらくはリターンでのとりわけセカンドサーブに対してのミスが多すぎた。積極的にアタックしていたが感覚がズレていたような印象です。錦織にとっては十分すぎる援護だったので、メンタルを立て直してらしさを徐々に発揮。基本的に主導権を手放さずにストレートで勝利。
大会側からすれば地元のマレーに対して未勝利の錦織を組んだのにはそれなりの思惑もあったかと。それでもピークから落ちてきたマレーと好調な錦織ではこうなってしまう。今の錦織であればどの選手でも無理を強いられてしまうということかな。勝つために必要と考えた特別なタスクを遂行できるかどうか、というところで勝負が決まってしまった。
先に述べたように、試合の内容そのものはやや低調なものでした。錦織にすれば初めての大舞台にナイーブにもなったが、相手がマレーだったことが良い方に作用したかもしれません。現時点でのランクでは上回っているが、経験、実績ともにBIG4の一人であり苦手意識もある。100%チャレンジできる状況だったことでプレーそのものに比較的集中しやすくなったのでは。そして最終的には対応してしまった。初物を一気にクリアしてしまったことでメンタル面への好影響は相当なものだと思います。
今夜の錦織の対戦相手は自身のアイドルと言ってはばからないフェデラー。全ての試合がクライマックスともいうべき大会ですが、やはりこの舞台でフェデラーと日本人プレーヤが対戦するというのは‥‥感動ですね。そして大会に際してインタビューを受けたフェデラーが錦織について語っていた内容が素敵すぎたことにも。GAORAで流れたその内容は端的にいうとこんな感じだった。

「彼が素晴らしい選手だったことは以前から知っていた。元々フォアハンドが素晴らしかったが近年はバックハンドが向上し、今季はサーブにおいて向上している。怪我がちだったけれどもハードワークで乗り越えて強いフィジカルを獲得したよね」

メンタルについても言及していたような気がするがとにかく「ずっと見てたよ」を感じさせるコメントで泣かされた。王者であり賢者であり全てを手に入れた今でも戦士であるフェデラー。出来るならフルセットまでもつれて少しでも長くこの歴史的な対戦を見させてもらいたいですね。