スーパーだったチリッチの前に見せ場も作れなかった錦織。好事魔多し、とはこのことだろう。やはり同格以下の選手が相手だったことで彼の良さである攻撃性が薄れてしまった。まあそうしたことさえも吹き飛ばすようなチリッチのプレーぶりであったし、まったく驚かされた。
試合前のコメントで「必ず勝てる」というニュアンスのものがあったのは気になっていたし、試合後の会見でも「相手がフェデラーだった方が良かった」という発言もあったようだがこれは言うべきではない。彼のこれまでの言動からは考えにくい性格のものばかりだが、そうしたことからも初の舞台でナーバスになっていたことが窺い知れる。まあだからといって今大会の勝ち上がりで示した錦織のプレーが輝かしいものであったことは揺るがないのだけど。決勝だけ観た人たちはご愁傷さまとしか言いようがない。
普段テニスの話題があがることなど無いいろんな場所でにわかに盛り上がりを見せた。ランキングは8位まで上り、アジア人男子として史上最高のプレーヤーになった。この後はマレーシア、東京、上海を転戦するアジアツアーが始まる。個人的な予想としてはマレーシアでは低調に終わるのかもなあと。そして日本に凱旋するが、周囲の対応、マスコミの対応などでこれまでの環境と激変することは予想に難くない。だからさっさと負けてのんびりするのもいいだろう。そして上海から調子を上げてもらってロンドンのツアーファイナルズで爆発してもらいたいものだ。
あらためて興奮をありがとう。これまでもこれからも。