小林サンの名解説ぶり

チーム青森の健闘を毎日のようにみています。女子カーリング世界ランク9位というポジションに相応しい戦いぶりにはいくつかの興奮を憶えた。特にロシア戦の大逆転はライブで観ていた者のすべてが報われた思いだったのでは。
カーリングという競技においてはスキップの役割が大きな比重を占めるため、実質「チーム目黒」といえる今回の日本チーム。その目黒に関してはほとんど期待通りで、4年前のトリノ以来の成長をまざまざと見せてくれている。そんな重要なスキップだけど、この時期だけ乗っかろうとする国内のゴミのようなスポーツ紙では、負けたとたんに「スキップのショット成功率の差が出た」とか言っちゃうんだな。‥‥浅はかすぎて言葉もない。先攻後攻に関わらずそれまでの展開で優位に立てないエンドでは、スキップのショットの難易度が高くなるのだ。リードからサードまでの精度の低さ、そこに言及しないでスキップの責任を問うような日本のメディアを心の底から軽蔑する。いやすでに以前からしているわけだけど。
これってサッカーで「決定力の差が出た」という雑な記事と同じかもね。岡田のチームにしてもFWよりもむしろ中盤にこそ攻撃力が無いんだから。
また小林宏さんの解説も相変わらず素晴らしい。一部では「嫌われている民放のサッカー中継と同じく、小林サンも興奮気味に話しているのにどうして好感を持てるのか」について議論があったりするとか。
これは要するに「伝えようとする姿勢」の違いじゃないかと思う。競技そのものの魅力を伝えようとする小林サンと、誇張気味にひたすら場を盛り上げて自らのスポーツ観を押し付けようとする凡百の解説者とでは、もうこれは勝負にならないのだ。
あるがままにプレーを表現・説明し、その背景にある競技者の意図を汲み、その先にある勝負の行方を占う。そんな当たり前のスポーツ解説が出来る人材は少ないよね。