FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2008 G大阪 vs マンチェスター・U(横浜)
国内及びアジアでの戦いが世界最高峰へ繋がっている(形式上は)ということ。この一事はJの有力クラブにやる気を起こさせ、見事に2年連続のACL制覇を果たす原動力になったと言えるのではないでしょうか。何しろ、それまでがそれまでだったから‥。ともあれハレの舞台に立つ権利を得たレッズとガンバはそれぞれの戦いを挑み、それぞれに試運転の相手に力の差を見せつけられました。ただし、観戦後の満足度で言えばガンバが圧勝ですね。福岡に戻ってきてからも録画を見る気にさせるほどに。勝負の行方という通常の関心事が元々あまり大事ではない試合ならでは、と言えるでしょうが。
さて、前半の内容はびっくりするくらいにクリーンなプレーに終始していました。この辺は、ピッチレベルでも勝負のことが大きな問題になっていなかったことを示しているように思います。ポゼッションしているガンバに対して全くと言っていいほど厳しく接しないユナイテッドは、出方を探っているというよりは、明らかに遊んでいる様子。そもそもスタジアム全体が観客数ほどに熱を感じないCWCならではの独特な雰囲気なので、本当の真剣勝負になることは叶わないのです。悲しいことではありますが、現実なので。
そんな中で一見押しているガンバでしたが、時折見せたユナイテッドの攻守の切り替えの早さはその状況が見せかけにすぎないことを如実に語っていました。この辺の早さの感じ方というのは、生観戦ならではなんだとあらためて思いましたね。ちなみにあの日、ユナイテッドで最もファイトしていたのはテベスでしたが、ユルい中盤を背景にしたフィニッシュへの形の悪さが足を引っ張っていましたね。テベスにすればいい迷惑だったと思いますよ‥。それにしてもあのターンの速さ、対人プレーの強さというのは凄い。周りでもいちいち「強いねー」と口にしていました。
ユナイテッド側のプレーで触れるべきなのは、あの5分間程度での集中攻撃のみ。あれ以外はどうということはない内容でしたし、3失点というのも無惨この上ない。ファンデルサールはPKを決められたことに対してクールにコメントしていましたが、正直な所かなり悔しいはずです。橋本のゴールに関しても、試合後のファーガソンはかなり怒っていたという話もあるくらいですし。そういう意味でガンバはよくやったと言えるでしょう。スタイルにこだわった甲斐があったんですね。なんだかんだで、ガンバが点を獲ったときの方が客のスタンディング率は高かった!
さて、試運転のユナイテッドでさえもアジアのチャンピオンとの差は圧倒的でした。得点にいたる形でも、ガンバは隙をついてフィニッシュに繋げたのに対して、ユナイテッドは極めて能動的に相手の守備陣を崩しにかかり、局面で勝負に勝ち、確実にシュートを決めていました。パスサッカーを標榜しながらも、得点できたのはカウンターの形からだけでは、西野監督も喜べるはずがありません。真の競争力を得るために何を目指さないといけないのかが体感出来る、これこそがご褒美だったと言えるでしょう。