輝ける期待の星

錦織圭

今日から開催された全米オープンで、錦織が素晴らしいプレーを見せてくれました。判っていたことではあるけど、あらためて「コイツは凄いな」と感じました。シード選手をしてまともに自分のプレーをさせないというのは、明らかに飛び抜けた才能を持っている証です。そもそもこの大会に出ているだけでもとてつもないことですが、その舞台で格上の選手に対して“普通に”勝ってしまうというのは‥‥こんな日本人プレーヤーが出てきてくれたことに感謝したい気持ちです。
そのスタイルはエモーショナルというよりスタイリッシュで、バリエーションに富んでいます。なんのこっちゃい、と言う感じですが、要するに彼を知らない観客にも訴える魅力があるということですね。見ていて楽しい選手というのはこの世界でも貴重なんです。
彼がこれくらいやれるという確信は持っていました。たとえ負けた試合でも内容は素晴らしかったですから、いいパフォーマンスが良いコンディションで持続すれば一気にランキングを駆け上がることは、ほとんど既定路線とも言えるのです。何しろ彼はあのIMGボロテリー・アカデミーでサバイバルしてきたスペシャルな存在なのだ。
IMGボロテリー・アカデミーでは世界各地から有望なジュニア(8〜18歳で330人!)を集め、その中からプロに進めるのは10人くらいだという。逆に言えばその10人を磨き抜くための330人なのだとも言えますね。ちょっと前にスポーツ大陸という番組で錦織の特集をやっていましたが、アカデミーのコーチ達はこれぞという選手を見定めると、それとなく特別なメニューやマッチメイクを課し、キチンと良い方向へと導いてあげるのです。そうやって送り出された選手たちが遡ればアガシだったりシャラポワだったりするわけで、そういったビッグネーム達と同様の活躍をする可能性はあると思わせるだけの選手ですよ、錦織は。
2回戦の相手はクロアチアのカラヌーシッチ。現時点のランクではちょっと上の選手というだけで、問題になるのはコンディションだけと思われます。順当にいけば3回戦でフェレールとあたる。この対戦はホントに楽しみだ。AIGオープンの前にこの二人が顔を会わせることになるか。