CLファイナルは、去る者たちがこれ以上無い置き土産をクラブにもたらして決着した。
凡そガナーズのサポーターで、とりわけピレスのファンの方には、かける言葉も見当たらないのだけど、一言で言うなら
「勝つべきチームが勝った」
ということか。
国内リーグでもぶっちぎりの2連覇を果たし、CLにおいてはチェルシー相手に昨年の雪辱を果たしていた。そのチェルシーをプレミアで止められなかったガナーズが、このバルサに勝つ事は考えられなかった。一発勝負においては、単に実力での優劣が勝敗に結びつかないことは、ままあることだが、それでもバルサが負けることは想像できなかったな。
だから、レーマンが退場になって一人減った時点で、既に趨勢は決したように感じたし、キャンベルの1発でガナーズが先制したときには、
「これで面白くなる」
とさえ思った。
先制してからのガナーズはとにかく引いて、1-0のままで後半を迎えようとした。当然なのかもしれないが、それが後半になっても続くとしたら、(そうするよりないとしても)誤まった選択であることは、これまでのバルサの戦いぶりが証明している。
果たして後半が始まると、思いの外ガナーズは攻勢にでる。人数はかけられないものの、サイドをリュングベリが駆け上がっては、持ち前のスピードでオレゲールを組み伏せようとするなど、前がかりになるバルサの自陣を個人の力で脅かした。アンリの決定的なシーンもあったが、ビクトル・バルデスの集中が勝った。確かにプジョルとマルケスの2CBは優れてはいるが、スーパーではない。アンリの対応には悩まされることは予想していたが、成長した若きGKとカバーし合って、どうにか封じたことがこの後の逆転劇に繋がった格好。
この辺りから攻めへの意識は減衰し、ガナーズはやがて防戦一方に。こうなるとスペインリーグでのバルサをずっと見てきたから、
「守って勝てる相手ではないよ‥‥ベンゲルとしたことが‥‥」
などと思ったりもしたよ。
今季、劣勢のバルサが点を取りにいくオプションとしてよく見られた、ラーション投入による前線の組み替えがこの最高の舞台でも実を結び、ラーションのアシストでエトーが同点ゴールを、その5分後にはまたもラーションのアシストで、ベレッチが逆転ゴールを叩き込んだ。(どこぞの福岡のチームは、昨晩、点を取らないといけないところで即席FWとDFを入れ替えるという愚策をとったが!)
その前のイニエスタ(フジの実況はセスクのことばかり囃していたが、今はこっちが旬)投入もよかったが、とにかくこっちはラーションが出てきてボルテージは一気に上がり、同点ゴールで「さあ始まった」、逆転で「来た〜!」。
今季でクラブを去るラーションと、ほぼ決まっているエトーが結果を出した中、期待されたロナウジーニョは、まあイマイチ。存在感は抜群だったが、要は彼がスペースを与えられていない中でも期待されたスタイルで挑み続けた事が、今回はうまくいかなかったということ。そして対照的にラーションの無駄走りとシンプルプレーが、あの時間帯ではとても有効だったということだ。
代表入りを果たせなかったジウリーの涙や、有終の美を飾ったラーションにエトー。バルサの復権はここに成った。最高。