Tennis Holl of Fame

サバティーニが国際テニス殿堂入りしたという。
女子の中で印象深いプレイヤーを一人挙げろ、と言われたら迷わずこの人を選ぶ。容姿もさることながら、そのセンス溢れるプレイは躍動感に満ち、他の選手とは一線を画していた。特にバックハンドの美しさとダイナミックさは男子にも見当たらないんじゃないか、と思ったほどだった。
僕は、いわゆる「強くて安定した」プレイヤーよりも、より「巧いが気まぐれ」タイプに惹かれるようだ。ボルグよりマッケンロー、グラフよりサバティーニ。今ならフェデレよりサフィン、ということになるか。本当に好きなのはアラジあたりだったりするのだが‥‥
  
Gabriela Sabatini BIOGRAPHY
http://www.tennisfame.com/enshrinees/sabatini_gabriela.html
  
さて、今行われている全豪も、トップクラス同士の対戦が多くなってきている中、とうとうヒンギスがベスト8まで来た。けしてドローに恵まれたわけでもないが、「危なげなく」勝ち上がっている印象。よく考えると勝って当たり前の選手だったのだが、ブランクを感じさせ無いどころか、以前よりもショットにスピード感があるようにみえる。道具の進化もあるだろうし、相手のショットが速いからミートして返すだけで速くなるということも言える。ただ、ちゃんとブランクの間にこの世界でどういう変化があって、それと自分のギャップを埋めてきているように見えるし、そうじゃないと勝てないだろう。その適応力に驚かされる。
  
そして昨晩の放送でストーサーとの対戦の中で、この人の本質をみたような気がした。3時間枠の放送の最後にもってこられたため、終わりまで見れば3時。1セット目を完璧に獲ったヒンギスを観て、もういいか、と思ったし、そもそも放送枠が決まっているのだから、逆転はありえない残り時間だ。それでも目を離せなかったのは、ストーサーの攻撃とヒンギスの守備が噛み合ったシーソーゲームになったから。
悲しいかな、ヒンギスの攻撃力は時代遅れのものだし、元々そういうタイプでもなかった。ストーサーがエースを狙い、決まればもちろんポイント。決めきれないときはヒンギスが多彩なショットで揺さぶりをかけ、やがて根負けする。駆逐されつつあったタイプなのだ、ヒンギスは。それだけに今の女子サーキットでは異彩を放っているようでもあり、また懐かしさにも似たものを観るものに感じさせる。
最後はタイブレークにもつれて、10-8までいった。このタイプレークが面白かったし、このヒンギスという選手の本質が「勝負師」なんだと思わせる内容だった。パワーよりも駆け引きで勝機を見出す生粋の勝負師。
ウィリアムス姉妹の登場によって駆け引きという要素は光を失い、パワーテニスが全盛になった。そこに魅力が伴っていたかはともかくとして、今のベルギー勢やロシア勢の台頭はその潮流に乗ったものだ。しかし、ヒンギスは戻ってきた。そしてユニークな挑戦は続いている。
次は無理だろ、と思いながらもどこかで期待しちゃっている。