レスラー

「レスラー」
以前から日本公開を楽しみにしていた作品。まさかこのようなタイミングで観ることになるとは。男泣きするしかない。プロレスラーという人種のありのままを描いたこの作品に今出会えたことに何がしかの巡り合わせを感じる。
以下ネタバレ注意**
最後の「ラム・ジャム(ダイビングヘッドバッド)」のなんという無様さ。だのにそれが美しくて切なくてたまらない。エンドクレジットが始まってすぐに涙が出てきて、一旦ひいた波がスプリングスティーンの曲でまた寄せてくる‥。映画であんなに泣けたのはいつ以来かなあ。
その理由を三沢と重ねるのはあまりにセンチメンタルに過ぎるが、三沢の中にランディ(的な精神性)がいなかったとも思えず‥。生き死にの狭間に身を晒すことで得られる陶酔感は、その当事者を現実から乖離させる。戦争経験者が退役後に感じた虚無感と同様のものなのか。
ミッキー・ロークはとんでもなく素晴らしい演技だった!彼の俳優人生を多少なりとも知っているので、この80年代をひきずる主人公は彼そのもののようにみえるし実際そうなのだ。そんな彼の演技によって虚実入り交じることになるこの作品の題材がプロレスだというのは、まったくもって良く出来ていると思う。
もう一度観てみたいと思うけど、今度は始めから泣くかもしれない。