発表によると、林容疑者らの逮捕容疑は、08年9月20日、名古屋市西区の無職男性(81)に警察官を装って電話し、「あなたの口座が振り込め詐欺に使われている。銀行協会の職員を行かせる」とうそを言って訪問。一時的に預かったカードから特殊な機械でスキミングした情報を元につくった偽造カードで、男性の口座から400万円を引き出した疑いなどという。先日のNHKスペシャルではオレオレ詐欺の実態の一部が垣間見えた。いちいち詳細を述べることもないが、ケッサクなのは被写体への対応の差だろう。大金をだましとった川上の立場(つまり詐欺事件の中枢)の人間が詐欺を正当化し、被害者に対して良心の呵責を一切示さないことに対して、カメラを向けているNHKの記者は言葉を失う。しかるに、末端でだましとった金を“飛ばし”の口座から引き落とすだけの役割にあったホームレスの男性に対しては「やめるべきだ」と言う。バカげているとしか言いようがない。
つまるところこの社会そのものがこの犯罪形態を助長していることは明らかなのだけど、対処療法でしか動けない警察やマスメディアのことは忘れておいた方がいいのだろうと思う。実際、冒頭の事件のようなケースについては、この番組では一切触れられていなかったのだ。
その上で私見をひとつ述べるとすれば、どのチャンネルでも同じニュースを同じ姿勢で扱うくらいなら、冒頭にあるような「より生活に根ざした、目線の低い役に立つ」報道を集約するプログラムがあってもいいのではないかということです。要するに、視聴率や部数の高いものほど嘘くさいということなんですよね。トップがだらしない以上、ボトムから突き上げていくしか状況は変わらないんだと思う。
これって、いろんな状況で言えることですねえ。