ダイコク

ー大黒天ー
七福神の代表格として、恵比寿神とともに、広く民衆から信仰されてきた。江戸時代の浅草の酉の市では、恵比寿・大黒の像を売る店が多く出ていたという。
 大黒天は一般的な姿としては、狩衣姿に、頭巾(大黒頭巾)、肩に金嚢(袋)、そして右手には打ち出の小槌を持つ。
 大黒天という名称のもとになったインドの神は、ヒンドゥー教起源の神であり、梵語で摩訶迦羅(マハーカーラ)と呼ばれる。帝釈天毘沙門天多聞天)などと同様に仏教の天部に所属する神で、戦闘神でもあった。マハー(大いなる)カーラ(黒い)で、漢訳して大黒天または大黒神という。それが仏教に採りいれられ、悪鬼と戦う勇猛な護法の軍神となった。

まさにG子にとっては大黒サマだったろう。自信と大いなる期待を込めて送り出したスタメンは、ホームでありながら自らの土俵で戦うことができずに、いつか重慶でみたことのある実に守備的なチームに成り下がった。ファンタジーのかけらもなかった。

相手のGKの弱さも手伝って意外な形で先取点が取れた。放り込めば点が取れるーそんな状況だったが、北朝鮮のチェイシング(これは試合を通じて遂行された)に実効パスが繋げられない中盤からは前線にほとんど供給できなかった。畳み掛けられた時間帯を無為に逃した後は、予想通り、中盤が落ち着かなくなった。同点に持ち込まれたのは必然で(あれは絶対にシュートではなかったが!)、そもそも後半開始から中村と高原を、それぞれオガサ、鈴木と替えなかったのにはがっかりした。国内にこだわるなら俊哉を入れても同じ効果が得られた筈だ。だが今回、シンガポール戦での俊哉と同じ役割を果たしたのは大黒だった。
大黒が投入されたときは「ここで出すんだ」とG子のことがさらに分からなくなった思いだったけど、大黒にはずっと期待していたから喜びも大きかった。「大黒が点を入れたらもう何でもいい」と交代の直後に思った。そしてそれが現実となった。
たぶん、一生忘れません。このゴールは。

次は最も負けられないゲームが待っている。守って守りきれる相手ではないだろう。5バック(3バックという名の)にするくらいなら、今こそ4バックに戻したらいいんじゃないかと思う。そしてもちろん、中盤にいるのはあの“黄金の”4人。守備の出来ない三都主もいないことだし。
いや、こうやって次の展望を幾ばくかの余裕を持って考えられるということが素晴らしい。ダイコク様さまだよなあ。