消失

NYLON100℃の27th、「消失」北九州公演初日を観た。
導入部の印象として、「これは演じてるみのすけ大倉孝二は難しいだろうなあ」と思った。意外なほど平坦な展開の中で〈普通の〉兄弟を演じていて、その上でどうにか観客を惹き付けなければならなかった。お互いの持ち味というか、得意な部分を抑えた演技をしていて、妙な落ち着かない感じがあった。そういう落ち着かなさっていうのが単に登場人物への情報不足からくるのか、北九州という場所でやっているからなのか、意図したものなのか。
加えて、東京公演中はタイムリーだった、クリスマス当日という設定も新年にはつらい。そうした要素がからまって、導入部分はちょっと辛かったかな。その後、三宅弘城松永玲子、イヌコが出てきて、いよいよ八嶋。人物が増え、情報が増えてくるとストーリーに厚みが出てきて、面白くなってくる。効果的だったのが、幕間にスクリーンを下ろしてテキストでストーリーを補足しているところ。それに合わせて使われていた、あのBGMとアニメーションがこの舞台の性格付けに役立っていたように思う。
前半は基本的に笑わせる構成になってはいるものの、所々にちりばめられた伏線めいたものが「怖さ」を漂わせながら、それらがエンディングへと収束していくあたりは、鳥肌ものだ。

まあ、まだツアー中なので、あまり書き留めててしまうのもどうかと思うのでこれくらいに‥
とても見応えのあるいい舞台だった。