マネジメント

素晴らしい結果となった。川崎の無敗記録は昨年のアウェー大分戦で負けてからということなので、傾向としてなにかあるのかどうか。その大分に対して今月の初めにリベンジをして、その後は柏、広島とのアウェーで2つのドロー。7月にACLがあり、オリンピックの後は主力の2人が欧州へ。前回の対戦時に感じた明らかな差の一因としてチームとしての統一感とスピードがあったが、この試合では後者がやや落ちているように見えた。

とは言え前半はほとんど常に攻められている状況が続いた。中二日でのミッドウィーク開催ということでコンディションを優先させたスタメンは、渡と城後という2トップが走り回って、重廣とカウエがスペースを埋め、タイトに守備をし、宮とグティエレスが門番となり、村上が立ちはだかった。それでも川崎にすれば「いつでも取れる」心持ちだっただろうし、こちらにしても「いつかやられる」と思っていた。旗手の負傷交替は誤算だろうが、替りに入ってくるのが小林だから「どっちにしろヤバい」のだ。

どうにか前半をしのいだアビスパのプランは、2トップの消耗を見ながらどこでスイッチを入れるかなのは明らかで、無失点であればベスト。それが本当に62分まで続いたことで勝ち点の可能性が出てきた。山岸、ジョン マリ、前の3枚替えからの短い時間で明確にスイッチが入り、杉本とクルークスが息を吹き返した。

クルークスのゴラッソに至るまでの厚みのある攻撃は、共通理解としてチーム全体の圧力を増したことによるものだと思えるし、その判断が良かった。湯澤のスルーと裏抜けというアシストも見逃せないが、もはやお馴染みになってきたクルークスの左足の弾道は、早めに打ったことでタイミングを外したためにチョン ソンリョンの伸ばした手が届かなかったか。

秀逸なのはこの後の時間帯も攻め続けたことで、それは今季積み上げてきたものの中でも重要なものだと思う。残り10分は久しぶりの5バックでウノゼロ勝利。

「今季において川崎に最初に勝ったチーム」というステータスを手にしたが、長谷部さんはシーズン全体のことを考え続けている。勝利は素晴らしいが、勝ち点3以上でも以下でもないということで、また次に向けて整えて闘ってほしい。