当然のこと

日本代表にとってのコンフェデ杯は全敗で終わりましたが、それを憂えることもないでしょう。凡そ最悪の相性とされるブラジル、そして最悪とまでは言わないまでもやはり相性が悪いイタリア、メキシコという強豪たちを相手にそれなりの真剣勝負の経験を得たことをポジティブに考えたいですよね。アジア王者になっておくということには意義があるのだなとしみじみ思います。
イタリア戦の後に「メキシコ戦こそ注目している」と書きましたが、確認したかったのはどれだけ差が出るのかということです。基本的にモダンな欧州スタイル、とりわけスペインのようなショートパスを多用したポゼッション重視のフットボールを「やりたいなあ」っていうスタンスであれば、スペインまでの道のりの途中にメキシコはいるはずなので、そういうチームとの差をどう見てとるかで今後の対応も変わるはず。

でも結局のところ今の代表がやりたいなあって思ってるポゼッションは絵に描いた餅であり、なおかつリスキーですね。レベルの高い相手はスピードのある選手を配しているのでプレスによって今の代表レベルのポゼッションを打ち破ることが難しくないし、なにより今の代表メンバーはポゼッション向いてないですよ。長谷部、本田、岡崎をそれぞれケンゴ、清武、乾or柿谷くらいにすれば結構マシになりそうなんだけども。でもその3人がいない代表も実際考えにくいですね。本田は前の南アフリカで示したし、長谷部のキャプテンシーも替えがきかない。そして岡崎の得点力はチーム随一といって良いです。個人的にはケンゴ、清武、乾or柿谷の揃ったチームを心の底から見たいなと思ってはいますがザックに彼らを任せるのも違うなと。

さてメキシコ戦。立ち上がりで主導権を握ったのは良かったし、それがメキシコとの相対的なものであったとしても評価出来る内容でしたね。でもやはりラストのところでアイデアが乏しい。PA付近になるとトーンダウンするというのはブラジルの真逆ですね。誰もが「俺が決める」姿勢でいながらも速い判断で最善を選べるブラジルと比べるのもアレですが。やはりそこでトーンダウンするということはメンタルよりも技術的なものでしょう。真に頼れるのは香川一人かな。本田という選手はフィジカルやセンスに優れたタレントですが、オンザボールでは正直それほどでもない。流れの中での速いテンポのワンタッチプレーが上手いとは言えません。だからそういう本田がトップ下にいることがいまいち気に入らないんですね。このままならどう考えても本選での彼のトップ下というのは守備的な意味合いが強くなるでしょう。
さておき押している時間帯で獲物を逃すと後が恐いってことで、案の定というか前半の終盤から後半の立ち上がりにかけて押し込まれて何となく先制されてしまう。この時間帯には明らかに運動量が落ちたし、とりわけ本田は大会を通じてよくなかったから早めにケンゴか清武と替えるべきだったと思う。でもそうではなく悪くなかった酒井を内田に替えて、吉田も入れて3バックに変えてさらにそこから失点してしまう。このベンチワークはザックのセンスの悪さがモロに出ましたね。思い込みによって動き、目の前の状況を無視するというのは‥‥。長友にしてもコンディションの悪さを考慮せずに出し続けた結果追い上げるはずの3-4-3のテストにも失敗。短期勝負を乗り切ってトーナメントを勝ち抜くには効率こそが求められると思うが、イタリア人がそれを知らないはずもないでしょう。彼に対する期待値はほぼゼロになりました。

今回の教訓があるならそれは今の代表をマイナーチェンジして「本選での戦い方」を決めることですね。選手選考については超がつく保守ぶりなので今回のスタメンをどう活かすかを探して欲しい。最終的にトチってしまうショートパスでの中央突破などよりもサイドからの崩しを磨いたほうが良い。攻撃に多様性は必要だけど、要は相手をいかに出し抜くかが重要であって「やりたいことをやる」のは違うでしょう。あとカウンターのスピードも上げてもらいたいものだ。宮市間に合って‥‥