Gran Torino

Gran Torino

「この国はとてつもなく愚かになったが、希望はまだある」というメッセージなのかもしれない。

以下ネタバレ注意**

移民の国である彼の国でポーランド系の主人公がつい昨日まで忌み嫌っていた“イエロー”に「古き良きアメリカ」を託すということの意味。モン族のギャングが報復したのは直接の相手(白人)でなく同族であったことの意味。傷ついた戦争体験者の存在、親子の断絶、暴力のインフレーション‥。
今のアメリカのさまざまな状況において、おそらくは作中で描かれた以上にレイシズムがえげつないであろう中西部を舞台にしたこの寓話は、昨今のエスカレートしすぎたどのような“社会派”の作品よりも饒舌ではないだろうか。
それもこれも78歳(当時)のクリントが演じればこその快挙であると言えよう。彼でなければあのラストの選択は一切のメッセージ性を持ち得ない、と言っておく。
久しぶりに映画のことなどエントリーしてみたけど、それもこれも批評しがいのある対象をあらためて思い返してのこと。映画のことならしばらくためこんでいるので小出しにしていくのもいいかな。