Roland Garros final, Sunday, June 10, 2007

ラファ

Nadal wins three straight
ナダル城は今年も陥落せず。レッドクレーという天然の要害に加えて、ナダルが繰り出す七色のトップスピンと圧倒的なカバーリングによって、フェデラーのプランはことごとく潰されてしまった‥
  
まず何よりもフェデラー自身のパフォーマンスが微妙なままに終始してしまったんですよ。
第1セットの1stサーブの率ではフェデラーは30%台であったものの、さすがに持ち直し最終的には64%。彼にしてみればちょっと悪いくらいだ。数字だけでみれば勝敗をわけたのはブレークポイントの奪取率に明らかな差がみてとれます。
フェデラーの1/17に対し、ナダルが4/10。まあ、これは勝者と敗者で差が出るのが当たり前の部分なんですが、注目されるのはフェデラーのあまりの率の低さでしょうね。チャンスのたびに潰されてしまう(というより自滅するシーンが目立った)ので、その後のゲームで勢いの差が出てしまう。そういうことの繰り返しによって少なくないダメージを受けたスイスの王者は、流れを引き寄せてプレーの調子を上げるきっかけを失い続けたんですね。
  
悪いながらもナダルからセットを奪えるのはフェデラーくらいのものでしょうし、「らしさ」は出ていた。ナダルのトップスピンは厄介で、ときに左右にバウンドが変化することもある。ナダルにしてみれば「そうしないとやられる」ことはわかっているわけで、甘いボール(そうは見えないが)が2つも続けば「ありえないアングルで」ショットがナダルカバーリングを凌駕する。
ナダルにしてみれば、自分のいつもの戦い方を研ぎすまされた集中力で遂行すれば、フェデラーの超絶ショットをかわすことができるので、プレーをする上では葛藤は皆無でしょう。しかしフェデラーにしてみれば‥‥。自分の持ち味がサーフェスによって減衰させられてしまうことに多少なりともストレスは感じるはず。まあ、それでもナダルさえいなければ‥
アンフォースドの数でも彼の苦悩は窺い知れるし、その中でどうにかバランスをとって最後まで勝つことを諦めない姿は、まさに王者のそれでしょう。あの自分をコントロールする術こそがフェデラーたる由縁なのでしょうね。
  
どちらに転んでも歴史的な快挙だったのですが、大方の観客は生涯グランドスラム、そして年間グランドスラムの可能性により肩入れしていましたね。それはまた来年のお楽しみ、ということで。
今週からは「誰が芝でフェデラーを止めるか」に注目したいです。誰もいないとは思いますが!