エナンが返り咲く

マドリッドで行われていたWTAチャンピオンシップスは、エナンが制して年間女王の座も獲得した。
モレスモは今季2度のグランドスラムタイトルを獲っているのに、その上を行くエナン。それもそのはずで、


<<シングルス決勝>>
◎エナン 64,63 ●モーレス

93年のグラフ以来、全てのグランドスラム大会とWTAチャンピオンシップスの決勝に残ったエナン。
この偉業はこれまではエバート(1984年)、ナブラチロワ(1985年)、グラフ(1989,1993年)、セレス(1992年)の4人しかいない。

4大大会すべてのファイナリストとなり、その内の3つを逃してもなおモチベーションとコンディションを維持するとは!
  
思えば、ベルギー勢やロシア勢の前に立ちふさがったウィリアムズ姉妹(特にセレナ)が権勢を誇った時でさえもこれほどではなかった。ゆえにエナンこそがグラフに比肩しうる存在であることに異論はないだろう。
あの美しく力強いバックハンドに魅了されている僕にとっては、エナンのカムバックは嬉しいことこの上ない。
フェデラーといい、このエナンといい、ダブルハンドでのバックショット(パワー)が全盛の中で、シングルハンド(テクニック)を貫いて極めた二人がNo.1になっている。その事実が今後のテニス界のスタイルに影響するか、といえば「NO」だろう。いくらラケットの性能が上がっているとはいえ、今のスピード&パワーのレベルにおいては、シングルハンドで対応できるタレントは滅多に生まれないはずだから。
シングルハンドでのバックショットとは、その選手のテニスセンスそのもの、そんな気がしている。