グッドルーザー

コートジボワールーオランダ戦は良かったね。“死のグループ”という触れ込みに相応しい、好ゲームだった。
そうしたゲームには、「Good Loser」というべき敗者がいるもので、この日のコートジボワールがまさにそれだと感じた。
  
構図としては、タレント集団で上位進出を期待されるオランダに、コートジボワールが挑戦する、というものだが、アフリカ勢がこうしたケースで番狂わせを起こすのは何度もある。何より、絶対的なFWと言えるドログバの存在が大きい。そんな期待を持って見始めた。
前半は地力の差を見せるオランダが、ファン・ペルシーとファン・ニステルローイの得点で2-0とした。早々と2-0になったときは、その前のアルゼンチンの大勝を想起させたが、チームとしては、先のセルビア・モンテネグロ戦と同様に可も無く不可も無い、という印象。
そんな中で、やはりドログバの存在感は脅威であり続けた。何より、エゴを捨ててチームメイトのチャンスを作り続けていた姿勢が素晴らしく、個人では勝てないということを知り尽くしている、そのプレイヤーとしての成熟度に瞠目した。
だから後半のコートジボワールの攻勢は、チームリーダーが蒔いた種が萌芽し始めたかのように思われたのだ。ドログバが囮になってスペースを作り、2列目の攻撃参加がバイタルエリアで繰り広げられる。
当初、オランダはそれを受けて、カウンターを狙っていくという懐の深さを見せたが、やはり守備ベースのプレーは、次第にメンタル面でチームを蝕み始め、相対的にコートジボワール側にゲームの主導権を「完全に」握られた。
もちろん、それが出来るのも高い身体能力と技術があってこそなのだが、まさに「ノリにノった」感のあるコートジボワールはリスクを冒して前からプレッシャーをかけ、ゴールを脅かし始め、バカリ・コネのファインゴールが生まれる。
その後もドログバを起点にチャンスを作り続けたが、あと一歩が足りなかった‥‥
グッドルーザーと言えばオランダ、だったが、この日はバッドウィナーと言えるものだ。
ただ、強豪に立ち向かい、勝ちを狙う姿勢とは、まさにこの日のコートジボワールであったと言えるだろう。

コートジボワールがすごいのは、複数の選手がさまざまに動いて相手守備網をずらし、細かいワンタッチのパスを何本もつないで相手ゴールに迫るところだ。
  
そんな世界を尻目に、あの我が代表は
「前から追わなくていい」
と指示されているそうで。確かにどんな強国でも時にはリアリズムを追求したフットボールをやるものだけど、それはチャレンジャーたる日本にはそぐわない。
セルビア・モンテネグロが1巡目でのドン引きに選手側が反発し、ベンチとピッチの距離が広がった2巡目には、持ち味の組織力も崩壊し、なす術も無く散った。
流れとしては日本代表にも似通ったものを感じるのだけど、どうかな。
  
これがあって、
http://wc2006.yahoo.co.jp/hl?c=event&a=20060617-00000015-dal-spo
そして、コレ。
http://nakata.net/jp/hidesmail/hml276.htm
↑悪い結果になったときのために予防線を張っているような受け止め方をしてしまうよ。強い気持ちになれていないようだ。今更なんだが。
  
相手は絶対に甘く見てる。勝ち点3をとるには前で勝負して2点差以上をつける状況を早くつくることだ。
それが出来るなら苦労は無いが、何よりこれしか考えられない。1点を争う状況では決定力のなさは致命的。
せっかく与えられた「自由」なら、選手達はそれを謳歌するべきだろう。
  
まあ個人的には、控えメンバーの方がいいメンバーだと思っているのだから、こんな論調になってしまうね‥‥