Cool

ターンの華麗さ

トリノ五輪が始まってから、心底「カッコいい」と思える選手が出た。男子モーグルの金メダリスト、デール・ベッグスミスだ。
モーグルの華は派手なエアなのだろう。だけど、日本の里谷が前々回、前回とメダルを獲り、今も一線で活躍できているのは、その滑走技術に依るところが大きいと思う。コブを吸収しながらスピードも保つ滑走技術がターン・タイム点には直接繋がり、またエアを正確に決めるためにも準備動作での余裕を生むことに繋がっているのではないか、と感じた。
女子でもそうだったけど、強いヤツは本当に綺麗で力強いターンを見せていたからね。本当にいいものは素人でもわかるものだ。滑走順は最後、という状況で憎らしいまでに冷静に決めたベッグスミス。点数が出て、金メダルが決まった後でも叫び回るでもなし、派手なガッツポーズもなし。それがまた、際立ってカッコ良かったね。

「こんなことが起きるなんて想像もできなかった。信じられない」
http://number.goo.ne.jp/torino/game/freestyle/news/article/060216F544/

それでも、本人には、やるべきことが冷静に見えていたに違いない。
ここで考えてしまうのは、「思い切っていくだけ」というのは、実はテンパっている選手にありがちなのかな、ということ。四年に一度なんだし、大技に挑んで駄目ならそれでいいじゃん、という短絡さを「チャレンジ精神」といってしまうのは、いささか乱暴なのだ。
例えるなら、フィギュアで4回転に挑戦することは蛮勇なんじゃないか、とかね。誰とはいいませんが。仕事だったら4年かけた案件に最後の最後で失敗は許されないと思う。その辺りの可能性の線引きは本人にしかできないことだろうけど、あの伊藤みどりによるトリプルアクセル成功の如き偉業を果たせるのだろうか。見届けよう。一番注目してるのは荒川だけど。
  
「思い切っていくだけ」と安易に逃げたりしないように、と自省もしたりしつつ。