冬期五輪でメダルなんて滅多に見られるものじゃなかったよ。
純粋に世界最高峰の技術と精神を見られるだけで充分すぎる。とはいえ、魔物がいるとまで言われる四年に一度の祭典は、ともすれば年間を通じて強かった王者があえなく沈むこともあるのも事実。
そういう「勝負のあや」を見るにつけ、各競技の奥の深さを感じるわけで。
冬期の華はやはりアルペン競技。特に滑降は空撮で見てると、悪い冗談のようでもある。標高差914m、全長3299mのコースをほとんど生身の人間が120〜130km/hほどの速度で「滑り落ちる」。一瞬の判断のミスが大事故に繋がりかねない厳しい競技は、一回のタイムだけで決まる。それだけに、実力だけじゃなく、運(ちょっとした巡り合わせ)のようなものも作用する。まあ、五輪では良くあるハナシだけど、このあらゆる日常から隔絶されたような競技にはとても相応しいように思う。
ただ、昨日の滑降を見ていたら、解説の人が何度か「気合いですね」と言っていたのが気になった。言葉を知らないのか、解説できないレベルなのか、およそ現代スポーツにあるまじきフレーズだと思いながら観戦していたが、後になって思うと、なるほどこのような厳しい競技を制するにはあらゆる不測の事態や恐怖心などをねじ伏せる「気合い」がなくてはならないのだろうな、と思わずにはいられなかった。
アルペン競技やノルディック競技はいいよね、アメリカのアの字も出てこないから!最近幅を利かせてきたエクストリーム系なんかは明らかに北米向けだからね。まあ、面白いけど。中井には前回以上の活躍をしてほしかった‥‥