36連勝

フェデレが勝った。正直言って、この間の全仏の女子ファイナル並につまらなかったといっていいくらいの完勝。フェデレが凄いのはわかるけど、ロディックに少し期待はずれの感が。2年連続の同一カードによるファイナルだったが、昨年よりも二人の差がはっきりしてしまったようだ。
もう、ほとんどフェデレはリアクションに徹し、自ら仕掛けることはあまりなかったと思う。(それがトッププレイヤー一流の「仕掛け」なのだろうが‥。)
ロディックがアングルをつけたストロークでポイントの主導権を握ろうとしても、それをダウン・ザ・ラインありショートクロスあり‥‥自在の切り返しで封じてしまう。打つ手無し。大概はビッグサーバーというのはプレーにそれほど幅がないものだ。とはいえ、このアメリカの若者もネットプレーのスキルが上がっていることを感じさせたし、なんといってもあのサーブは凄まじいの一言に尽きる。だからそのサーブリターンで相手の足下に沈めるコントロールを見せたスイス人もまた凄まじい。
勝負の面白みに欠けてはいても、スコアやかけられた時間以上に濃密なゲームだったのは間違いない。
  
さて、ロディックは当世随一のビッグサーバーである。芝においてはそれはかなりのアドバンテージであるはずなのに、数字上ではサープのポイントでもフェデレに軍配が上がる。特に2ndサーブでの差は著しい。クライチェクにしろイワニセビッチにしろ、サーブで芝を制したと言ってもいいくらいで、ロディックにしてから2年連続のファイナリストというのは、そのサーブが有効であることのあらわれなのだとは思う。それでも鬼退治には至らない‥‥なら、もっと磨くべきなんだろう、サーブを。ストロークの迫力がサーブほどではないのも気になるが、まったく寄せ付けないだけのサーブを打っていかないと。多分、彼にとっては一番手にする確立が高いのがこのウィンブルドンタイトルだろうから。
  
そしてまるで簡単に獲ってしまったかのようなフェデレだけど、このレベルをキープし、さらに凄みを増してきているという事実は、その日々のハードワークに支えられているのだろう。それにしても、最近観た海外のテニス番組で、かつてフェデレのコーチであり今はサフィンのコーチであるルンドグレンがインタビューでこう語っていたのには驚かされた。
「始めの頃、彼はネットプレーが苦手だったから強化しなければならなかった」